膝の裏(後ろ)が痛くて正座や膝の曲げ伸ばしがツライ…。
なのに特にレントゲンで異常も見当たらない。
正式な症状は一体何なんだろう?
と不安になる方は多いようです。
今回は
- 膝の裏側が痛む原因・考えられる病名
- 膝の裏の痛み方の違い
などを紹介したいと思います
膝裏の痛み方4つ
膝の裏が痛むと言っても、痛くなるタイミングや場所はさまざまあります。
まず痛み方別に見てみます。
1) 膝裏を伸ばす・曲げるタイミングで痛い
安静にしてれば痛みは無いのに、膝を曲げ伸ばしするタイミングで膝裏に激痛が走ることがあります。
- 椅子から立ち上がる
- 歩く
- 走る
などの時に痛みを覚えます。
基本的な日常動作が多いので、放置しておくとだんだん体を動かすのも億劫になり、運動量が減るため悪循環に…
さっそく痛みの種類をみていきましょう。
2) 膝裏の筋が痛む
膝裏には多くの筋肉が集中しています。
“ふくらはぎ“・“腓(こむら)“
とよく称される部位は正式には
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
と言われるもので、
- 腓腹筋(ひふくきん)
- ヒラメ筋
という2つの筋肉で成り立っています。
膝裏にある、この腓腹筋が痛むことがあります。

引用:http://kodomoseikei.com
重心が前に傾くと、体のバランスを支えるためにこの筋肉が使われます。
- 正座をするとき
- 階段の上り下り
- 屈伸運動
- 歩行
など膝を曲げるときに痛みを感じることがあります。
3) 膝裏が腫れて痛い
膝の裏に明らかに「腫れ」が生じ、痛みを生じる場合があります。
膝を曲げると圧迫感があり、膝の裏側だけでなく、
膝から太ももにかけて全体的に違和感を感じるのも特徴的です。
4) 膝裏のリンパが痛い
体の排水管のような役割で全身をめぐっている『リンパ』。
- リンパの流れが悪くて足がむくむ
- 首筋のリンパを流してスッキリ小顔に
などよく言われますね。
リンパは、体中の不要な脂肪やたんぱく質などの老廃物を回収しながら、
健康を維持する大事な役割を担っています。
血管・リンパは何が違う?
体中を巡る《循環器系》と言われるものは、医学的には
1.血液の循環する心臓と血管系からなる血液系
2.リンパが毛細リンパ管~静脈に流れ込むリンパ管系
3.リンパ節からなるリンパ系
と3つの系統に大きく分かれています。
- 血液は心臓をポンプとして全身に流れるもの
- リンパは筋肉の動きによって自発的に流れているもの

引用:Wikipedia
膝の裏側には、このリンパ管が通っていて、このリンパ節が腫れることで
“しこりとはまた違った、膝裏全体が膨らんでいる感じがする違和感“
“痛み自体は強くないものの、膝を曲げるときに、モヤモヤする違和感“
があります。
膝裏の痛み原因6つ
膝裏の痛み方をいくつかお話ししましたが、
原因となる具体的な症状名などは何があるでしょうか。
1) 膝裏を伸ばすタイミングで痛い原因
膝裏を伸ばす時に痛みが出る原因は次のような症状があります。
後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)
膝の靭帯(じんたい)という部分は、名前は聞いたことがあると思います。
図のように、主に4種類の靭帯があります。
強靭な結合組織(主な成分はコラーゲン)の短い束で、骨と骨を繋ぎ関節を作っています。

引用:日本整形外科学会 -膝靭帯損傷-
- 交通事故や転倒で強く膝ををぶつける
- スポーツなどで、強い力で人・地面に膝をぶつける
など、大きな力が膝に加わった時に、
その外力の方向に応じて、それぞれの靭帯が損傷してしまいます。
靱帯は一度損傷してしまうと、伸びることはなく、
断裂して関節にゆるみ・痛みを起こしてしまいます。
後十字靭帯は、膝関節の動きをコントロールする役割を担っていますが、
損傷してしまうと膝を支える力が弱まってしまいます。
2)反張膝(はんちょうひざ(しつ))
反張膝(はんちょうひざ・はんちょうしつ)は、名前の通り
“膝が反対側に反ってしまっている状態“
を意味します。
膝は通常まっすくに伸びていますが、
それが弓のように逆に反って曲がってしまっている状態です。
膝を押しつぶして立っている状態で、
若い方にも、割と多く見かける足の形ではないでしょうか。
反張膝になる原因
『歩き方』といっても、人によって個性がありますね。
- O脚で歩く人
- X脚で歩く人
- 猫背で歩く人
- 腰を反らせて歩く人
など様々ありますが、
反張膝になる人はその状態に至ってしまう膝の使い方をしているからです。
- 足裏の重心位置が偏っている(かかとに重心がかかりすぎている)
- 膝が反るように無理な力を入れている(バレエダンサーなどに多い)
- 膝を支える太ももの前後の筋力バランスが悪い
など原因はいくつか考えられます。
反張膝による悪影響
反張膝のまま放置してしまうと、次のような弊害が体に現れやすくなります。
- 膝の全体の痛みに進行する
- 腰痛・片頭痛にまで進行する
- 肩こり・首こりにまで進行する
- ふくらはぎや膝の裏が疲れやすい
- 下半身がむくみやすい
- 猫背気味になる
- 歩くとすぐに疲れる
- O脚やX脚(ガニ股)に将来的になる
3) 膝裏の筋肉が痛い原因
膝の裏の筋肉というのは、先ほどお話しした“ふくらはぎ“の一部、
腓腹筋(ひふくきん)
のことです。

引用:http://kodomoseikei.com
この筋肉は、歩くだけでなく立った状態でも常に使われる筋肉ですので、
- 歩きすぎ
- 長時間の立ち仕事
などでも疲労や負担が溜まりやすい筋肉です。
また、他の筋肉と同じように、
- 使い過ぎ(走る・飛ぶなど瞬間的に膝裏を伸ばすスポーツ)
- 強い打撲
などをしても痛めてしまいます。
4) 膝裏に腫れを感じて痛い原因
膝の裏が腫れて、
- 膝の裏に膨らみがある
- 膝の曲げ伸ばし動作が窮屈に感じる
- 押しても痛みはそんなに感じない
の場合は、膝関節に何らかの炎症が起きています。
- 『ベーカー嚢胞(のうほう)』
- 『ベーカー嚢腫(のうしゅ)』
- 『膝窩(しっか)嚢胞』
のといわれる症状の可能性があります。(以下:『ベーカー嚢胞(嚢種)』)
いわゆる
“膝に水がたまった状態“
のことです。
病院では、注射針で滑液を抜いたり、ステロイド薬を注射して滑液の産生を抑えたりする治療法のほか、症状が気になる場合は、外科手術で水のたまった嚢胞を切除することもあります。
ベーカー嚢胞(嚢種)になりやすい人
「変形性膝関節症」の有病率が高い55歳~70歳の大人に好発しますが、
スポーツが好きな4歳~7歳くらいの子どもにも多くみられます。
ベーカー嚢胞(嚢種)はなぜ起こる?
膝の関節は、関節包という袋でやさしく包まれています。
その中には関節液という、関節をスムーズに動かすための液体が詰まっています。

引用:リウマチ関節症センター白和病院
ひざの炎症など何らかの原因で、この袋に溜まる水が過剰に分泌され、袋が大きくなると、
ひざの裏側に押し出されて膨らみができます。
ベーカー嚢胞(嚢種)を引き起こす膝関節の炎症とは?
関節液が過剰に分泌される理由は次のようなことが考えられます。
[激しいスポーツ]が原因
激しい運動などで膝関節の炎症が起きると、正常に関節液をつくり出せません。
子供がベーカー嚢胞(嚢種)になる原因で多いのが、
- 激しいスポーツのやりすぎ
- 膝が逆に反れる『反張膝』
です。

引用:朝日デジタル -ひざの裏に膨らみ・子どものベーカー嚢腫-
また、ふだん運動不足の人が急に膝を酷使しても、炎症を起こしやすくなります。
[変形膝関節症]が原因
中高年のひざの痛みの原因として、もっとも多いとされるのが
という症状で、女性の方が圧倒的に多いとされています。
関節軟骨という、膝に加わる衝撃を和らげてくれるクッション機能が年齢とともにすり減っていくことで、骨と骨がぶつかり炎症が起こります。

引用:リッチボーン-関節痛-
また、膝の曲げ伸ばしに
ポキポキ・ゴキゴキ・ゴリゴリ
といった不穏な音がするのも特徴的です。
変形性膝関節症については「変形性膝関節症のセルフチェック!膝ポキポキの他の原因も」で詳しくご覧いただけます。
[関節リウマチ]が原因
リウマチにはいくつか病状名はありますが、一般的なリウマチといえば
のことを意味しています。
膝や指の関節の内側にある滑膜(かつまく)に腫れや痛み・炎症が起き、最終的には関節の変形をきたす病気です。
自分の免疫細胞が異常をきたし、間違って自分の細胞や関節を攻撃して炎症を起こしてしまう
“自己免疫疾患”
が原因の一つと考えられています。
関節リウマチについては「関節リウマチのセルフチェック!初期症状はシビレじゃない?」で詳しくご覧いただけます。
5) 膝裏のリンパが痛い原因
膝裏を通るリンパに痛みを感じるのは、体に老廃物が滞っている状態です。
リンパの流れが滞る原因は、
冷え・ストレス・運動不足
などさまざまあります。
それによって、
- むくみ
- 肩こり
- 疲れやすい
- 老廃物が排出されないため免疫の低下
など、さまざまな影響がおこります。
6) 良性の腫瘍
ごく稀ですが、膝の裏が膨れる症状はほかに、
『良性軟部腫瘍(りょうせいなんぶしゅよう)』
といわれる良性の疾患である場合もあります。
その種類はさまざまあり、
- 大人では『神経鞘腫(しょうしゅ)』
- 子供では『脂肪腫』
という疾患名が多い傾向にあります。
いずれも手足関節付近に多く発生しやすく
“しこり”
“はれもの“
“できもの“
として自覚症状が多いそうです。
悪性でないかどうかを確認したうえで、
必要であれば美容的な意味で切除をおこなったりします。
膝裏の痛み・何科にかかる?
このように、膝裏の痛みの原因はさまざまありますが、
早期発見・早期治療
が最も大切です。
- 膝に力が入らず浮いた感じがする
- 膝が回せない
など痛みが無くても何らかの違和感がある場合は、
『接骨院』・『整骨院』
など専門医の受診をおすすめします。
あきらかに膝に腫れがあったり痛くて歩くことも困難な場合は、
『整形外科』
を受診します。
他の腫瘍との鑑別のために、
超音波・MRI・関節造影検査
などと言われる検査をします。
膝裏の痛みを抑える対処法は
膝裏の痛みを和らげる、カンタンな対処療法は何があるでしょうか。
テーピング
膝関節の伸び・ねじれに対して効果があるテーピングがあります。

引用:ピップ簡単テーピング
テーピングの貼り方例は『ピップエレキバン』でおなじみの
テーピング紹介サイト(動画あり)がお役に立ちます。
ストレッチ
意識的に膝裏を伸ばす適度なストレッチは、筋肉や体を温めてくれます。
血流の巡りを良くするため、特にリンパの痛みがあるかたは積極的に取り入れて
血液循環を改善させましょう。
まとめ
あなたの膝裏の状態に当てはまるものはありましたでしょうか。
どの症状も、初期段階では自覚症状も少なく気にならない場合が多いようです。
膝をピンと伸ばした時や曲げづらさ・張りを感じるなら
すでに症状が進行しているサインかもしれません。
放置したまま悪化してしまうと、最悪は歩けなくなってしまうこともあります。
自己判断はしないで、信頼できる治療院などで、なるべく早めに診断してもらうようにしてくださいね。
コメント
自転車でゆっくり走って、車の飛び出しでよけたとき、止まる寸前ではあったが左に傾き左足でぴょんぴょんとすような形になったまま自転車ごと倒れました。来るかは逃げていきましたが、別に車にぶつかったわけではないので、逃げたのかも。でも起きようと思ったら左足が痛く動きません、通行人が助けてくれて何とか立てましたが、家に帰ったら左足が前かがみだと途中まで曲がりますが、ふつうにしゃがむことはできません。骨は大丈夫だと思いますが、この痛み大丈夫か心配です。
yukihisa さま
こんにちはコメントをどうもありがとうございます。
左足の具合はその後いかがですか?
寒い日が続きますので、無理なさらず、早めに病院に行かれてくださいね。
管理人ハナより