・膝の内側がどうも最近チクチク痛む…
・突然左足の膝内側だけが痛み出した!
普段からスポーツをやっている方、高齢者の方に限らず、
子供から大人まで膝の痛みは誰しも経験するものですね。
- 膝の内側が痛む原因・考えられる病名
- 膝の内側の痛み方・なりやすい人
などはどのようなものがあるのでしょうか。
何事も早めの対応が肝心です。
モヤモヤを早めにスッキリさせて、膝の痛みを解消しましょう!
膝の内側の痛み原因・疾患名6つ
膝痛といっても、
“膝の裏側“
“膝の外側“
“膝の上側”
など部位によってさまざまありますね。
“膝の内側“
は特に多く痛めやすい部位と言われています。
その原因も
- 筋肉
- 靭帯(じんたい)
- 骨
- 関節
など、さまざまな要因があり、
痛み方・年齢によっても個人差はあります。
まず、膝の内側の痛みの症状で、代表的な疾患は何があるのでしょうか。
1)鵞足炎 -膝を曲げるときに内側が痛む-
膝の痛みは
「スポーツ障害」
に代表される症状の一つです。
スポーツ障害とは、スポーツ(運動)をすることで起こる障害や外傷などの総称で、
別名「使い過ぎ症候群」
などともいわれます。
スポーツ障害の膝の痛みで代表的なものに
鵞足炎
があります。
鵞足炎(がそくえん)とは
膝の内側には、筋肉につながる
・縫工筋(ほうこうきん)
・薄筋(はくきん)
・半腱様筋(はんけんようきん)
という3種の太ももの筋肉と脛(すね)の骨をつなぐ「腱(けん)」が集中した部分があります。
「腱」とは「スジ」ともいわれ、筋肉と骨をつなげる組織の総称。
“アキレス腱“などが有名ですが、腱と骨がこすれやすい部分は炎症を起こしやすくなります。
↓※この部分が「鵞足(がそく)」。

引用:https://tiryo.net/gasokuen.html
集まった3つの腱の形がガチョウの足に似ていることからそう呼ばれています。
鵞足炎=スポーツ障害でおこる膝の代表的な症状
スポーツ選手に多い「スポーツ障害」のうち、膝に起こる代表的な症状と痛む場所は、
次の①~④があります。

引用:日本整形外科学会-スポーツによる膝の慢性障害-
① 「大腿四頭筋腱付着部炎・だいたいしとうきんけんふちゃくぶえん」(別名:ジャンパー膝)
②「膝蓋腱炎・しつがいけんえん」(別名:ジャンパー膝)
③ 「鵞足炎」
④「腸脛靭帯炎・ちょうけいじんたいえん」(別名:ランナー膝)
鵞足炎になる原因
鵞足炎の直接的原因は
【本人側の問題】
・筋力不足
・筋力のバランスが悪い
・骨の成長と筋の伸びとのアンバランス(10代の男性・中高生に多い)
・からだの柔軟性不足
【練習や環境の問題】
・トレーニングのやりすぎ
・体力や技術に合わない練習
・不適切な靴(サイズが合わってない)
・硬すぎたり軟らかすぎる練習場
などが考えられ、膝に負担をかけすぎているからです。
腱が骨につく部分や、鵞足とひざの靱帯(じんたい)との間の部位が、
繰り返しの摩擦により炎症を起こすのが原因です。
鵞足炎になりやすい人
鵞足炎になりやすい人はどんな人に多いでしょうか。
激しいスポーツをする人
- バスケット
- バレーボール
- テニス
- サッカー
- ランニング
- 野球
- ラグビー
- 水泳
などで、キック動作やストップ&ダッシュを頻繁に行うことで膝を使いすぎてしまいます。
中高年で肥満気味の人
鵞足炎になる人はスポーツ選手だけではありません。
ひざを過度に使う動作や体重増により、鵞足への負荷が増します。
肥満傾向の中高年の人が、急に長い距離を歩いた場合も発症しやすくなります。
また、中高年の人の場合は、
『変形性ひざ関節症』
と一緒に併発する人も多くみられます。(詳細は後述)
重心が内側にかかる歩き方の人
鵞足炎は、
- X脚
- 外反扁平足の人(かかとが後から見て外反(=内側に傾斜)している状態。扁平足と併発することも)
もなりやすい傾向にあります。
これらは、靴のかかと部分の内側がすり減っているのも特徴的です。
鵞足炎は再発することが多い
鵞足炎が軽度の場合は、膝を休めることで自然に治ることもありますが、再発も多い病気です。
スポーツが原因の場合は、トレーニングを続けることで慢性化してしまうこともあります。
鵞足炎の予防・治療
スポーツなどをする場合は、鵞足炎かどうかに関わらず、
・運動前は良く筋肉をほぐす・ストレッチをする
というのは鉄則ですね。
膝の筋肉が硬いままだと、鵞足炎を悪化させる原因にもなります。
・スポーツ後にはアイシング(冷やす)を15分ほどする
・慢性化している場合は、冷やすと血行が悪くなり痛みが助長してしまうので、温めたりマッサージをしたりして血行をよくするようにする
なども効果的です。
適切なコンディションを保って、それ以上に悪化させないことが大切です。
鵞足炎の主な痛み症状
・膝の曲げ伸ばしで内側の少し下辺り2~3センチがズキズキ・チクチク痛む
・正座やあぐらをかく体勢がしづらい
・膝の内側を押すと痛い
・膝を伸ばした時に強く痛みを感じる
・膝に腫れや熱を帯びた感じがする
などがあります。
2)変形性膝関節症 -動き始めに膝の内側が痛む-
50代以上の人の膝痛で内側が痛い原因は、
の可能性が高くなります。
膝のクッションの役割である軟骨が、加齢によってすり減っていくことで関節内に炎症が生じます。
変形性膝関節症になりやすい人
変形性膝関節症は一般的に
“高齢者のひざ痛“
という代名詞もありますが、
原因は「加齢」だけではありません。
鵞足炎と同じように、膝の使い過ぎや膝の変形によって炎症が生じます。

引用:リッチボーン-関節痛-
- スポーツを習慣にしていない人
- 40代以下の人
でも発症することは多くあります。
詳しくは[変形性膝関節症の初期症状・セルフチェック!]もご覧ください。
変形性膝関節症の主な初期症状
・コリコリ・ポキポキという音がする
・動き始めるときに膝の内側が痛む
・階段の上り下りで膝の内側が痛む
・トイレでのしゃがみ姿勢が辛い
・膝の後ろに張りを感じる
などがあります。
3)内側側副靭帯損傷 -膝の内側を押すと痛い-
膝の靭帯(じんたい)という部分。
名前はよく聞かれますが、膝まわりには主に4種類の靭帯があります↓

引用:日本整形外科学会 -膝靭帯損傷-
強靭な結合組織(主な成分はコラーゲン)の短い束で、骨と骨を繋ぎ関節を作っています。
4つのうち前方内側にあるのが
です。
「内側側副靭帯損傷」などと言われてしまうと、聞きなれませんし何となく重大なケガのイメージがありますが、
実は膝靱帯損傷のうち最も頻度が高く、単に“膝のねんざ“として取り扱われることが多い障害です。
内側側副靭帯損傷はスポーツ障害の一つ
内側側副靭帯損傷も、代表的な「スポーツ障害」の一つ。
特にサッカー・ラグビー・アメフト選手に多いと言われています。
ボールを追って、膝を内側に曲げるを繰り返す動作が多いからです。
内側側副靭帯損傷の主な症状
・膝の内側を押すと痛みがある
・膝に腫れや熱を帯びた感じがする
・膝の不安定さを感じる
4)半月板損傷 -膝の水たまりの原因-
「半月板(はんげつばん)」も名前はよく聞きますね。
具体的に膝のどの部分なのでしょうか。
引用:日本整形外科学会-半月板損傷-
半月板は、半月の形=Cの形をした薄い板のような軟骨組織で、膝の外側・内側にそれぞれ1枚ずつあります。
膝関節の間にあり、膝の円滑な運動を助けるクッションの役割があります。
とても薄くて繊細な部分ですので、日常生活でちょっとした膝をねじる運動でも
- 亀裂が入る
- 変形する
- すり減る
など損傷しやすい場所です。
半月板損傷が進行してしまうと、
- 膝に水(関節液)がたまる
- 急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になる(上図参考)
という状態になります。
半月板損傷になりやすい人
主な原因は
- 激しいスポーツ
- 事故などで膝に強い衝撃が加わる
- 加齢
- 体重増加
などで、膝に負担を過度にかけすぎることで起こります。
ですから、最初にお話しした
「変形性膝関節症」
「内側側副靭帯損傷」
などの、他の疾患を同時に合併して起こることも少なくありません。
半月板損傷の主な症状
・膝を曲げ伸ばした時にひっかかりを感じる
・膝の裏側に痛みが出ることもある
・膝に水がたまる
・膝のロッキング現象が起こる
5)タナ障害 -コリコリ音がする-
スポーツをする人に限らず、日常生活で膝を痛める原因で
という疾患もあります。
「タナ」とは?
タナ(棚)は「滑膜ひだ」とも言われます。

引用:https://ashinoitami.com/
膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)と大腿骨の内側の間にある膜が棚状であることから
「タナ」
と例えられています。
「タナ」がある人は50%
実はタナは、赤ちゃんが母体の中にいる胎児の段階で、関節包(膝関節を覆う袋)が作られる際に、一時的にできるもの。
生まれた後に退化してなくなる人とそのままの人がいて、
日本人の場合は、約半数の人に残存しているとされています。
タナ自体が問題ではなく、これが引っ張られたりして炎症することで、
「タナ障害」
となり、膝の内側に痛みが生じます。
タナ障害の主な症状
・膝の内側にひっかかり感がある
・膝を動かすと「コリッ」「パキッ」「ボキッ」などの音がすることがある
・膝を曲げると内側が痛い
・膝まわりが重苦しい感じがする
・膝の内側を押すと痛みがある
・安静時もジンジンとした痛みが長時間続くようになる
6)疲労骨折
疲労骨折とは、一度では骨折にならない程度の小さな負担が蓄積されて
骨にひびが入ったり、それが進行して骨折することです。
疲労骨折の原因
疲労骨折の原因は、スポーツだけでなく、もともとの筋力の弱さや筋肉の硬さも影響します。
特に女性では、骨粗鬆症、無月経、摂食障害の徴候とも言われます。
レントゲンでは骨折線がはっきりしないと診断できないので、最初にお話しした
「鵞足炎」
と間違いやすいこともあるそうです。
MRI検査など精密な検査をして、水分量の変化などをみて診断されます。
疲労骨折の主な症状
・運動してもしなくてもとにかく痛くなることが多い
・腫れることもある
膝の内側の痛み原因-カラダ編-
痛みの直接的な原因・疾患の代表的なものを紹介しましたが、
- 歩き方のクセ
- 身体の歪み
など、そもそも根本的な原因がカラダや癖(クセ)にある事も多くあります。
O脚・X脚
太ももや膝の間が過度に離れているO脚、くっつきすぎのX脚。
これらの脚の形は、関節がどちらかの方向に過度に負担が蓄積しているため、
進行すると膝の痛みのほか、体全体に何かしらの疾患が起こりやすい状態です。
筋力不足
膝の痛みは部位に限らず、筋力と深い関係があります。
特に足の筋力が弱い人は、それだけ膝に大きな負担をかけています。
スポーツや普段体を動かしている方は足の筋力不足にはなりにくいですが
加齢が主な要因となる
「変形性膝関節症」
「半月板損傷」
などでは、この関係が疑われます。
足の筋肉が硬い
「筋肉が硬い」という状態は、
ということ。
“スポーツ前には体をほぐしましょう、十分なストレッチをしましょう“
と特に言われるのは、そうすることで筋肉と骨をつなぐ腱への負担を減らす大事な役割があるからです。
膝の内側が痛い時の対処法
ひざの内側がどうしても痛い時はどうすれば良いのでしょうか。
迷わずまずは病院を受診
どの症状が原因であっても、やはり
早期発見・早期治療
が最も大切です。
『接骨院』
『整骨院』
『整形外科』
などを受診して原因を特定することが先決です。
一時的な痛みであっても、原因が分からないまま自己判断で
- テーピング
- ツボをおす
- 冷やす・温める
- 湿布を貼る
- サポーターをする
- ストレッチ
- マッサージ
- お灸をする
- 痛み止めの薬を飲む
- 電気治療をする
などを試したり、痛みを放置してしまっては不安が残りますね。
「なぜ膝の内側が痛いんだろう・また同じ痛みが来た…」
という心のストレスは、脳からストレスホルモンを分泌してしまいます。
診察や検査で原因がはっきりすればまずは一安心、余計なストレスを減らすことが出来ます。
膝の内側の痛み-右足・左足だけが多い-
誰しも左右対称・全く同じ膝の使い方をするとは考えにくいものです。
ですから、膝の内側の痛みは、
・左足の膝の内側だけ
・右足の膝の内側だけ
といった片方だけに症状が出ることが多いようです。
痛む足をかばって歩いてしまうと、痛くない膝にも余計に負担をかけてしまい悪循環です。
できるだけ適切な治療で、早く治すように心がけたいものです。
足底版(インソール)も効果的
みなさんはご自身の靴底の減り方を気にしたことはありますか?
特にO脚・X脚の人は、普段からどちらかに過度に重心がかかる歩き方をしているので、靴のかかと部分を見ると顕著に現れます。
とは、靴の中敷きのことですが、これをあてがう事で、
関節のねじれや重心のバランスを整えて、膝の内側にかかる負担を軽減する方法もあります。
自己判断は悪化させる恐れもあります
ただし、インソールは自分の足の形に合わせてオーダーメイドすることがベストです。
市販のインソールを購入して自分の足に合わなかった場合、余計に膝の痛みが悪化することもあるからです。
病院によっては保険適応で作成できるところもあるそうですので、一度相談してみると良いかもしれません。
まとめ
膝の内側の痛みの原因になりやすい代表的なスポーツをいくつか紹介しましたが、
- 軽いジョギング
- 山登り
など、人によっては日常生活の活動レベルでも起こりえるものです。
- 体のゆがみや体勢
- 筋力や足の形
- 加齢
などさまざま考えられます。
日常生活を送る上で非常に大きな役割を担っている膝は、無理な負荷を与えると様々な痛みでサインを出します。
どちらにしても、早期の対応を誤ると、治りにくくなる可能性が高くなります。
早めに整形外科の受診をし、膝の出す痛みというサインを見逃さないようにしましょう。