「おなかが張った感じがする」
「オナラやゲップが頻繁に出る」
「喉にいつも何かが詰まった感じがして息苦しい」
これらのいわゆる
喉から腹部にかけての不快感
の症状に悩んでいる方は多いようです。
色んな医療機関を受診しても特定の疾患がわからず、異常も無し。
原因不明の胃腸病の一つで、日本人の実に4人に1人は悩まされているとの統計も。
一般的に深刻な症状ではないと思われがちですが、実際は仕事や日常生活に支障がでてしまうこともあります。
今回はこれらの症状が起こる
「空気嚥下症(呑気症候群)」
と言われる症状について改善策など紹介したいと思います。
もくじ
空気嚥下症(呑気症)とは
「嚥下(えんげ)」とは「食べものを飲みこみ、胃に送り込む運動」のこと。
人は誰でも食べ物などを飲み込むときに、一緒に少量の空気をのみ込んでいます。
しかし人によっては、頻繁に空気をのみ込んでしまうことで、おなかに入る空気の量が多くなりすぎることがあります。

引用:日経電子版 -ゲップ・おならで悩んだら呑気症-
空気嚥下症は、20代~50代の女性に特に多いと言われますが
“体に空気をためすぎることでげっぷがうまく出せない症状“
として、消化器官が未発達の赤ちゃんにも多く見られます。
飲み込んだ空気はどこに行く?
のみ込んだ空気は、食べものと同じく
胃
↓
小腸
↓
大腸
の順で体の中へ送られます。

口から肛門までは、一本の消化管で出来ていて、食べ物は約8メートルも移動します
その間、腸内で食べ物が発酵して出るガスと混じって腸にたまり、結果
おならがでる
という自然な生理現象で体の外に排出されます。
空気嚥下症は体内の空気が多いためにおこる症状
しかし飲み込む空気が多い人は、胃腸に空気が大量にたまることで
- 常に胃もたれを感じる
- ゲップやオナラが頻繁にでる
- 腸内で空気が移動する時に、お腹や胸にかけていろいろな場所が痛む
- 喉や胃・腸などからいつもゴロゴロと音がする
- お腹が張って締め付けらる感覚
- 少し食べただけでおなかがいっぱいになり、吐き気を伴い食欲がなくなる
- 息苦しい
などさまざまな不快な症状が出てしまいます。
このように、空気を多くのみ込んで、おなかの張りなどの症状が起こる原因不明の病気を総称して
「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」
または
「呑気症(どんきしょう)」
といいます。
空気嚥下症(呑気症)の特徴的な症状
空気嚥下症(呑気症)の人は、次のような特徴的な症状があります。
胸やけ
お腹から胸にかけての不快感が起こります。
一般的な胸やけは胃酸の出すぎなどが原因ですが、
空気嚥下症(呑気症)の場合は、胃酸を抑える薬を飲んでも原因は「空気」なのであまり効果はありません。
[ニュータイプ胸やけ]とは
2014年に放送された『ためしてガッテン』では、
空気の飲み込み過ぎで胃に空気が溜まり、ゲップが通るたびに強い胸焼けやチリチリとした痛みを伴う症状のことを
「ニュータイプ胸やけ」
という症状名で紹介。
しばしば「逆流性食道炎」と間違いやすいこの症状は、原因は「空気」にあるため胃酸を抑える薬などは効果が無く、水の飲み過ぎも逆効果だと説明していました。
- 普通の胸焼け…胃液が逆流する、胃酸を抑える薬で中和。
- ニュータイプ胸焼け…空気の飲み込み過ぎでげっぷだけが逆流するタイプ。唾液や水を飲むと余計にげっぷが増えて逆効果
頻繁なげっぷ
胃と腸の間に空気が溜まりすぎて、痛みも伴うこともあります。
軽いげっぷではなく、空気のかたまりのようなげっぷが次々と出るのが特徴のようです。
ニオイの少ないおなら
食べ物が消化される際に胃腸で作られたガスの臭いおならではなく、
「空気」が原因のためニオイの少ないおならやげっぷが立て続けにでます。
重症化すると他の病気併発リスクも
空気嚥下症(呑気症)の人は
- 肩こり
- 頭痛
- あごの痛み
- 目の痛み
の症状に悩まされることも。
[噛みしめ呑気症候群]とは
空気嚥下症(呑気症)の中でも、これら重度の症状は
・噛みしめる時の歯ぎしり・食いしばり
・ツバの飲み込みすぎ
などの主にストレスが起因とされる行動で「空気」を大量に飲み込むことで起こります。
これを
「噛みしめ・呑気(どんき)症候群」
と言って、しばしば独立した症状として呼ばれます。
治療の多くは、歯科医で「マウスピース」を作って歯ぎしりとツバの飲み込みをコントロールします。
胃腸や消化器系の病気と思われがちな空気嚥下症(呑気症)ですが、歯科医で治療することも十分あり得るのです。
空気嚥下症(呑気症)の原因3つ
なぜ空気を多量に飲み込んでしまうのでしょうか。
主な原因は次のようなものがあるとされています。
①精神的なストレス
空気嚥下症の人は、食べ物を食べていない時でも無意識に大量の空気を嚥下しています。
- 緊張やストレスでツバを飲み込む
- 精神的に不安定な状態(抑うつ、神経症、ヒステリーなど)の時
など、空気嚥下症のほとんどの原因は心因性のものと考えられています。
②体質や習慣によるもの
普段の生活習慣やクセ・体質にも、空気嚥下症のリスクは隠れています。
- 食事の仕方(早食いや飲み込む際の癖など)
- ツバを多く飲み込む
- 歯を噛みしめる・歯ぎしりの習慣
- 鼻呼吸より口呼吸が多い
- 入れ歯などの義歯の不適応
- 猫背でうつむき加減の姿勢が多い
- 無意識に口をもぐもぐ動かしたり舌を出したりするクセ(オーラルディスキネジー)
- よくガムを噛んで口をもぐもぐ動かす
- 後鼻漏(こうびろう)=鼻水が喉に垂れやすい症状がある
③他の病気が合併している場合
お腹が張る・げっぷが止まらないなどの症状は、
- がん
- 胃潰瘍(いかいよう)
- 便秘や下痢などの便通異常
- 過敏性腸症候群
- 機能性胃腸症
- 呼吸不全
- 心不全
など他の病気や原因が隠れている場合もあります。
ですから、医療機関では必要に応じて
「腹部超音波検査」
「内視鏡検査」
などが行われ、ほかの病気がないかどうかを調べます。
これらの病気がなく、自覚症状があり、腸に空気がたまっていることが確認された場合には一般的に
「空気嚥下症(呑気症)」
と診断されます。
空気嚥下症(呑気症)・病院は何科で診断?
空気嚥下症かもしれないと思ったら、先ほどお話ししたように、同様の症状が食道や胃腸の病気でも起こることがあるので、
まずは
の診察を受けることが重要です。
食道や胃に疾患がないことが判明したら、まずは一安心。
どうしても生活に影響を与えているほど気になる場合は、
・心療内科
・精神科専門医
による治療を受けるとよいでしょう。
「噛みしめ呑気症候群」については、
・歯科医
・口腔外科医
に相談するとよいでしょう。
空気嚥下症(呑気症)の治療方法
このように空気嚥下症は、他の病気が隠れていないか、まずは消化器官を病院で検査してみることが大切です。
空気嚥下症の治療は、原因が明確にされていないため、特別な治療法などはありません。
現段階では薬物療法を中心に、症状が軽い場合には
- 消化管機能改善薬
- 消泡薬
- 消化酵素薬
- 消化管内ガス駆除薬
などといわれるお腹のガスを減らし、体外にガスが排出されやすい働きの薬が使われます。
気持ちの落ち込みがひどい場合は、ストレスを取り除くため
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
などの服用や自律訓練などの指導も行われることがあります。
空気嚥下症(呑気症)は[空気]が天敵!
空気嚥下症の原因は何といっても
「空気」
ですので、胃や腸を検査しても異常は無し、内科でガスを減らす薬や整腸剤などを処方されても効き目がほとんどないことが多いです。
なるべく体に取り込まないように[呼吸]することが改善への近道です。
特にストレスが多い方は
- 深いため息をつく
- 緊張でつばを飲み込む
などほぼ無意識の行動が「体に空気を大量に取り込む」状態になっています。
不快な胸やけやげっぷを少しでもラクにする時も、深呼吸などで「空気の飲み込み」を多く繰り返してしまいます。
このように不快な症状を和らげるために「空気の嚥下」を繰り返すことが、さらに空気嚥下症を悪化させていることをまずは意識しなければいけません。
空気嚥下症(呑気症)の改善ヒント8つ
先ほどお話ししたように空気嚥下症の原因はさまざまありますが、
・空気を飲み込みすぎない行動
・胃腸の負担を減らす習慣
この2つを「意識」することが空気嚥下症を改善するポイントになります。
① 食事のとき
・ドカ食い・食べ過ぎ
・よく噛まずに飲み込む
・炭酸系の飲料を好む
・大げさにすすって飲み食い
↓
特に早食いの人は、食べ物と一緒に大量の空気も「食べて」います。
ゆっくりとよく噛んで食べることで消化を助け、胃腸への負担も減らすことが出来ます。
また、炭酸飲料は体内でガスを発生させやすい原因になります。
② 胃腸の消化負担を考えてみる
・スナック・ジャンクフード・甘いものが好き
・炭水化物・肉類ばかり食べている
・お酒・カフェイン飲料を好む
↓
これらは
「胃腸に負担をかけやすいもの」
「胃腸が消化に時間がかかるもの」
です。
消化時間を意識して、胃腸を労わる食生活を意識することも大切です。
③ 胃腸を冷やさない
・冷たい飲み物を好む
↓
特に女性に多い冷え性は「万病のもと」とも言われますね。
体は思ったより「冷え」ています。
“低温やけどにならない程度にTシャツの上からカイロをお腹に当てて腹巻をする”
というのが「空気嚥下症改善に効果があった!」とネット上で報告がありましたので試してみるといいかもしれません。
④ 鼻呼吸ができるようにする
・鼻の病気がある
↓
口呼吸は、口の中が乾燥しやすくなるため空気の飲み込み習慣も増えます。
鼻呼吸ができない人は、まずは耳鼻科で鼻の病気を治しましょう。
副鼻腔炎・蓄膿症などの人は
「後鼻漏(こうびろう)症状」
といって鼻水が喉にたまりやすいため、鼻をすするたびに空気の飲み込みをしてしまします。
⑤ 便秘を解消する
女性の方は特に、腹部の膨満感があるときは便秘が原因になっている場合があります。
便秘が続くことで腸内環境が悪化し、それだけ有害なガスが発生しやすくおならやげっぷが頻繁にでます。
https://kenkokampo.com/eiyou/887/
⑥ 筋肉の緊張をやわらげる
・パソコンなどの作業が多い
↓
前に屈みがちになるこれらの姿勢は、胃が圧迫されることで胃と食道のつなぎ目に負担がかかり、胃液が逆流しやすくなります。
空気を飲み込みやすい、歯もかみしめやすい原因の一つです。
- まっすぐな姿勢を普段から意識する
- 首や肩のストレッチで顔周りの筋肉をほぐす
などを意識するだけで、症状はずいぶん軽くなるはずです。
⑦ 無意識の空気の嚥下を減らす
歯のかみしめや歯ぎしりによる[噛みしめ呑気症候群]の場合は、
歯科と提携している診療内科などに相談するのがおすすめです。
「嚥下反射防止(えんげはんしゃぼうし)スプリント」
という専用のマウスピース(スプリント)を作ってもらうのも効果的です。
これによって、唾液の飲み込み回数を減らすことができます。

引用:さち臨床心理研究所 -噛みしめ呑気症候群とは-
今は透明で目立たないマウスピースが多いので見た目も気にならず、慣れれば違和感も減り会話も支障なくこなせるようになるそうです。
(サイズによりますが値段は5,000円前後、自分に合った歯型を取ります)
- 上下の歯を噛み合わせない
- 注意喚起の文章を目の付くところに貼る
- 舌先を前歯の裏にあてる
なども効果的です。
⑧ 喫煙は厳禁
タバコは『百害あって一利なし』と言われます。
タバコは胃腸の天敵でもあります。
胃の粘液を痛め・血行を悪くして体の抵抗力も落としてしまいます。
空気嚥下症(呑気症)の市販薬
空気嚥下症(呑気症)の改善は、
・生活習慣の見直し
・薬を使う場合は医師と相談
が大前提であって、軽症の場合はあまり薬は用いません。
しかし不快な症状を我慢することは、それだけでも相当のストレスになります。
一般的な市販薬なら、腸にガスが溜まりやすい、胃腸に膨満感がある人向けの
- 整腸剤
- 消泡剤
と言われるものを一時的に使うことで症状が和らぐ場合もあります。
・ガスピタン
・ガスター10
・タケダ漢方胃腸薬A末
・太田胃散
・ツムラの漢方薬 “半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)”
などの商品が有名です。
まとめ
空気嚥下症(呑気症)は、決して珍しいものではなく人知れず悩んでいる人はかなりいるとされています。
- ゲップやオナラの回数が増えて恥ずかしい
- お腹の膨満感がいつもある
- やたらと息苦しい
などの不快な症状があるにも関わらず、原因不明の場合は、空気嚥下症(呑気症)の可能性が高くなります。
原因はストレスだけでなく、食事の仕方・体の冷え・鼻の病気・クセなどあらゆることに繋がっています。
「空気」と「呼吸」を意識する。
生活するうえでほぼ「無意識」なモノを「意識」することは簡単ではありませんが、科学的な薬の治療に頼る前に、まずはこれらの生活習慣の見直しをすることが何より大切です。
あなたの胃腸が早く良くなりますように、この記事がお役に立てれば幸いです。
コメント
呑気症で3年間も苦しんでます。胃カメラ検査も異常もなく喉も鼻も異常なく鼻ずまりがあり
耳鼻科で検査も治療も行ってきました。
血液検査も異常なくどの様な治療法がよいでしょうか?
解善方法があれば教える下さい。
現在使用している薬として
ベルソムラ15mg
ロゼレム8mg
リンゼス
パントシン錠
メイラックス
宜しくお願いいたします。
荒木様
コメントありがとうございました。
また、長年のご病気のご苦労お察しいたします。
記事にも記載させていただきましたが
吞気症となってしまう原因や。専門の医療機関も
十人十色、人それぞれ異なるようです。
この記事はあくまで一つの提案として参考にしていただき、
詳しい治療や生活習慣についてのアドバイスなどは
専門の医療機関にお問い合わせくださいませ。
お体お大事にされてくださいね。
色々と気を使っていただき有難うございます。
今夜は肩と腰がいつもよりつ良く寝られかどうかと言えます。
医者と相談を続けてますが医者事態現況を把握できてません。明日朝医者に行きますが
回答は疑問です。ストレスが強く事態を悪化しいる様です。ちいさな事でも気を使いすぎるのが原因の様です。あまり係わりないのも解決策とも思えるので本人の気きのママにするのも良いかと思ってます。またご連絡させていただきます。よろしく夫より
医師からは、逆流性食道炎と言われて武田製薬のタケキャブ錠を一年以上飲んでいますが、よくなりません。空腹の時と食べた後に溝内のところが痛いのです。他の病気なのでしょうか心配です。