「最近ゲップがよく出る」
「お腹の張りをいつも感じる」
「頭痛や首のこり、あごの痛みがある」
そんな時、緊張のあまり歯をグッと噛みしめていませんか?
「噛みしめ呑気(どんき)症候群」
人知れず悩んでいる人がとても多いこの症状は、
原因不明の胃腸病の一つです。
- 緊張するとなぜ歯を噛みしめてしまうのか
- 症状や対策・治し方
など紹介します。
もくじ
噛みしめ呑気(どんき)症候群とは
日本ではおよそ1500万人以上、実に4~8人に1人の割合で
原因不明の胃腸病
に悩んでいると言われています。
内視鏡検査などをしても特定の疾患が見つからないにも関わらず、慢性的にお腹に空気が溜まり、
- 噛み合わせ
- 歯ぎしり
などが主な原因から引き起こされる不快感を総称して
「噛みしめ呑気(どんき)症候群」
とよんでいます。
噛みしめ吞気症と空気嚥下症(吞気症)の違い
空気ののみ込みすぎが引き起こす、原因不明の不快感を総称して
「空気嚥下症」
または
「呑気症」
といいます。

引用:日経電子版 -ゲップ・おならで悩んだら呑気症-
空気嚥下症(吞気症)の症状の中でも特に、
・ストレスが主な原因で歯を食いしばってしまう
・胃腸の不快感意外に、肩こりや頭痛など重度の症状を併発している
などの場合は、
「噛みしめ・呑気(どんき)症候群」
といって、しばしば独立した症状名で区別されています。
噛みしめ呑気症候群の症状
噛みしめ呑気症候群は、のみ込んだ空気が胃腸内にガスとして溜まることで、
胃腸障害をはじめさまざまな症状が発生します。
- ゲップやおならの頻発
- 胃のもたれや不快感
- 胸やけ
- 腹部膨満感
といった胃腸系の症状から
- 食欲不振
- めまい
- 耳鳴り
- 頭痛
- 肩こり
- アゴの痛み
- 目の痛み
など多岐にわたります。
また、ひどくなると
- 心臓の痛み
- 胸を締め付けるような痛み
などを訴える場合もあります。
原因不明なので治療法がない
噛みしめ呑気症候群は
- 消化器科
- 内科
- 精神科
- 神経科
などいくつもの診療科であらゆる検査を行っても、原因は不明のままです。
また一時的な対処療法で整腸剤や消泡剤などの薬を飲んだとしても根本治療にはなりません。

引用:さち臨床心理研究所 -噛みしめ呑気症候群-
症状が悪化することで気持ちはさらに落ち込み、うつ病に至ってしまう悪循環になるケースも多いのです。
噛みしめ呑気症候群の原因
お腹に溜まる空気の約70%は、唾液と一緒に飲み込んだものとされています。
ですから
といえます。
頻繁に唾液を飲み込んでしまう最大原因は、ストレスなどによる緊張で無意識に「歯」を噛みしめてしまうことにあります。
ストレスで唾液を多く嚥下する理由
「嚥下(えんげ)」とは「食べものを飲みこみ、胃に送り込む運動」のこと。
「固唾をのむ」という言葉があるように、不安や緊張で無意識に唾をゴクリと嚥下することは誰しも経験していると思います。
ではなぜストレスがたまると
- 唾液を多く飲み込む
- 歯を噛みしめてしまう
と言ったことにつながるのでしょうか
【リラックスした状態のとき】
上下の歯は離れていて、口の中にも空洞があります
唾液は口の中で徐々に溜まり、ある程度溜まった時に初めて嚥下します
【ストレスや緊張状態のとき】
緊張を感じると顔の筋肉も緊張することで、上下の歯が合わさりやすい状態になります
口の中が狭くなって舌が上顎に当たると、唾液が喉の奥に流れ込んで無意識に何度も嚥下を繰り返します
それが同時に多くの空気を飲み込んでしまうことにつながります
噛みしめは誰しも無意識でしている
「噛みしめ」とは食事をするとき以外にも、ほぼ自覚がないまま奥歯を合わせる誰もが繰り返す動作です。
噛みしめ呑気症候群になりやすい人
・上下の奥歯がつねに接触している人(口をしっかり結ばないといけないと思いすぎている)
・姿勢によって上下の奥歯を接触させてしまう人(猫背やパソコン作業が多い人は奥歯を合わせ易い)
・うつ気分の人は、うつむき加減がちになり上下の奥歯が接触しています
・不安や緊張などストレス状態にある人
・合わない入れ歯(不適応義歯)
・無意識に口をもぐもぐ動かしたり舌を出したりするクセがある人(オーラルディスキネジー)
噛みしめ呑気症候群のセルフケア
このように噛みしめ呑気症候群の改善には、自分がストレスを感じていることを自覚したうえで、日頃の生活を見直してみる必要があります。
気が付いたら上を向く!
噛みしめ呑気症候群かもしれない、と思ったら最初にすることは上下の歯を必要以上に合わせないようにすること。
本来、唇は閉じていても歯は上下が触れていないのが普通です。
「上を向くこと」で上下の歯が離れて舌も下に戻ります。
- 上下の歯を噛み合わせない
- 注意喚起の文章を目の付くところに貼る
- 舌先を前歯の裏にあてる
ということを意識的して、口の中に空間を作る様に意識しましょう。
姿勢を正す
歯の噛みしめの強さというものは、姿勢ととても関係が深いものです。
人はどうしても緊張すると、顔や首にチカラが入りうつむきがちになります。
顎をひくと、歯が合いやすくなり唾液の飲み込みも頻繁に。

たまには休んでリフレッシュ!
特に、デスクワークなど前かがみになって長時間仕事している人は要注意です。
背筋はしっかりと伸ばし、うつむき気味になるのを防ぎましょう。
お風呂でリラックス&マッサージ
噛みしめ呑気症候群になってしまう最大の要因はストレス。
分かってはいても、普段忙しい人にとってはリラックスというのは難しいもの。
せめて、自宅に帰ったら一日頑張った自分を癒す意味でも、ゆったりと湯船につかる習慣をつけたいものです。
全身がリラックスする入浴の際は、首筋や口の周りの筋肉をマッサージして和らげるとさらに効果が期待できます。
マウスピース
セルフケアではどうしても限界があるという場合は、
- 歯科医
- 口腔外科医
などの専門家のクリニックを受診してみましょう。
「嚥下反射防止(えんげはんしゃぼうし)スプリント」
という専用のマウスピース(スプリント)を作ってもらうのも効果的です。

引用:さち臨床心理研究所 -噛みしめ呑気症候群とは-
左右の奥歯部分に透明なマウスピースをかぶせ、上下の歯を触れないようにすることができ、唾液の飲み込み回数を減らすことができます。
一般的に、マウスピース装着は日中のみで、数日たてば違和感なく会話も支障なくこなせるようになるそうです。
今は透明で目立たないマウスピースが多いので見た目も気になりません。
(個人差はありますが値段は5,000円前後、自分に合った歯型を取ります)
▼歯ぎしりの防止には通販商品もあります。
まとめ
原因不明の胃腸痛は、ほぼ誰もが経験しているものです。
その中でも噛みしめ呑気症候群の人は、胃腸以外の場所にもさまざまな場所に影響がでてきます。
最大原因は、緊張やストレスによって引き起こされる心の病気の一つともされているため
- 心療内科
- 歯科
の共同治療を行うことは珍しくありません。
まずは自分のストレスに気付くこと、そして肩の力を抜いて下アゴをリラックスさせておくことが肝心です。