イオンサプライ・イオンウォーター…スポーツドリンクでよく聞くこれらの単語。
そもそも「イオン」って何なのでしょう。電解質って…?体が電気を通すっていうこと?
と素朴に思う人も多いはず。
水分補給を考えるときに最も大切なこの「イオン」の存在。
今回はなぜこのイオンが大切なのか調べてみました!
もくじ
なぜ水分が大切なの?
「水分補給は大切!」ということは皆さんもご存知の通り。でも水分は体の中でどのような役割をしているのでしょうか。
人の体に含まれる水分量は、およそ体重の50 ~ 80%で加齢とともに少なくなります。

引用:環境省・熱中症環境保健マニュアル2014
体の水の働き
体の中の水のはたらきは、主に
- 体温調節(熱の運搬、蒸発による放熱)
- 栄養素や老廃物をスムーズに運ぶ
- 体内環境を維持する(体液の濃度、浸透圧の調整)
があり、生命の維持には必要不可欠です。
このような水の働きを助けるのが電解質(イオン)の役割で、体の中で水に溶けた状態で体にとって重要な役割を果たしています。
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体の水分は何からできている?
皆さんは“汗がしょっぱい!”と感じたことはないでしょうか?
私たちの身体の水分には、純粋な水だけではなく、この“しょっぱい成分”であるナトリウムなどの「電解質(イオン)」という物質も含まれています。
体の水分は「水」だけじゃない
体の水分は、一般的に「体液」と言われますが、
体液とは、血液、消化液、リンパ液などの総称で水だけの意味ではありません。
そして電解質(イオン)は、後述のように体の中で水に溶けた状態で身体にとって重要な役割を果たしています。
ですから、水分補給をするときには、水だけではなく、汗をかくことで一緒に失われるこのイオン(電解質)も一緒に補給する必要があるのです。
おもな電解質(イオン)の種類
それでは、電気を帯びる電解質(イオン)は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
主に、ナトリウムやクロール(塩素)、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあります。
これらは全て五大栄養素としてあげられるミネラルに属します。
五大栄養素とは
- 糖質(炭水化物)
- タンパク質
- 脂質
- ミネラル
- ビタミン
の5つで、私たちが生きていくうえで絶対不可欠な5種類の栄養素です。
イオンを理解するにはまずミネラルから!
ミネラルを説明する時に、まず思い出してほしいのがみなさんが学生時代、必ず習ったことのある「元素の周期表」です。
そう「水兵リーベー僕の船」でお馴染みの、地球上に存在する「万物の根源」、元素の「周期表」ですね。
【元素って?周期表って何だったかな?についての詳しい解説はこちらの記事をまず見てみてね!】

参考 ミネラルを分かりやすく解説!カギは水兵さん♪
周期表を4つのグループに分けてみる
原子が分子をつくるとき、原子のつぶつぶは何とでもくっついたり離れたりするわけではなく、そこには法則があり、原子の性質ごとに異なります。
①プラス(+)の性質をもつ原子
このグループの原子は、②と③のグループの原子とくっついて分子をつくります。
プラスの性質をもつことから、総称して「陽イオン・プラスイオン」とも言われます。
②④以外くっつける何でもOKの性質の原子
このグループの原子は、④以外のどの原子ともくっついて分子をつくる性質を持っています。
③マイナス(ー)の性質を持つ原子
このグループの原子は、①と②のグループの原子とくっついて分子をつくります。
マイナスの性質をもつことから、総称して「陰イオン・マイナスイオン」とも言われます。
④単品完成系の原子
このグループの原子は、誰ともくっつくことなく単体で存在できる原子です。
「単原子分子」とか「不活性ガス」ともいわれます。
電解質(イオン)とは
電解質(イオン)とは、水に溶けたときに、
「プラス(+)の性質をもつ原子」
と
「マイナス(-)の性質をもつ原子」
に分けられる性質を持ったものを総称した言い方です。
そしてその現象のことを「電離」と言います。
この図だと、塩化ナトリウム[NaCl]が電解質(イオン)で、
体内で水に溶けて
- ナトリウム(Na)の陽(+)イオン
- 塩素(Cl)の陰(-)イオン
の2つに電離していますね。
電解質(イオン)の働き
体の中にある主なイオンはどのようなものか実際みてみましょう。
性質 | イオン名 | 元素記号 | はたらき |
+ | ナトリウムイオン | Na | 身体の水分量および浸透圧の調節、神経の伝達、筋肉の収縮など |
+ | カリウムイオン | K | 神経の伝達、筋肉の収縮、心臓の収縮など |
+ | マグネシウムイオン | Mg | 筋肉の収縮、骨や歯をつくる、酵素の活性化など |
+ | カルシウムイオン | Ca | 神経の伝達、筋肉の収縮、骨や歯をつくる、血液を固めるなど |
ー | クロールイオン | Cl | 身体の水分量および浸透圧の調節、胃酸の分泌など |
“イオン名“”と“はたらき“の参考元:大塚製薬 電解質(イオン)とは
※クロールとは塩素のこと。クロルとも言われます。
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電解質異常とは
これらの電解質(イオン)の+-バランスが崩れることを総称して「電解質異常」といいます。
これらの電解質のバランスが正常かどうかは血液検査によって調べることができます。
電解質は体内で合成できないので、食事や飲み物から摂取しなければなりません。
電解質不足では欠乏症や不調の原因となりますが、逆に摂り過ぎも中毒をおこす場合があります。
例として、ナトリウムとカリウムの例を見てみましょう。
ナトリウム値が異常のとき
ナトリウムの主な役割は体の水分を調節し保つことです。ナトリウムは食塩(塩化ナトリウム)に含まれます。
水分とナトリウムの調節は、主に腎臓で行われています。
ナトリウムの基準値が外れてしまうと、次のような症状が現れます。
- 嘔吐
- 下痢
- 多量の発汗
- 熱中症(脱水症状)
- 腎不全
- 肝硬変 など
カリウム値が異常のとき
カリウムは神経の興奮や心筋の働きを助ける電解質です。
ナトリウムを体の外に出しやすくする作用もあり、塩分の摂り過ぎを調節する役目も担っています。
カリウムの基準値が外れてしまうと、次のような症状が現れます。
- 腎不全
- 嘔吐
- 下痢 など
カリウムは生野菜、果物、豆類に多く含まれています。
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まとめ
電解質は私たちの体で重要な働きをしています。
バランスのよい食生活により、過不足なくしっかり摂りたいですね。
熱中症も、この電解質のおもにナトリウムのバランスが崩れることで現れる症状の一部です。
ですから、よく熱中症症状で「嘔吐」や「下痢」がありますが、実は原因は腎臓機能の低下など、別の病気がかくれている可能性もあるのです。
少しでも異変を感じるのであれば、自己判断せずに血液検査などをして、しっかりお医者さんに診てもらうことが大切です。