スタイルのいいモデルさんがテレビで
「ダイエットに一日2ℓ以上の水を飲んでいます」
とよく答えているのを見かけます。
それを聞いた多くの方は、“水を飲むだけで痩せる”というイメージだけが先行してしまい
- 食事代わりにガブガブ水を飲む
- 水の温度は気にしないで飲む
といういうような間違った認識になってしまうことも多いと思います。
そこで今回は
- 水で痩せるとは
- 水の飲み過ぎは命の危険もある
- 摂取すべき水の温度や量・タイミングは
など、水の持つ効果や、水ダイエットの正しいやり方をご紹介します。
もくじ
水ダイエットとは
水ダイエットとは、日常生活の中で何も考えずに水を飲むということではありません。
という意味です。
人間の体の約60%は水分でできているので、水を摂るということは生きていく上では絶対欠かせないもの。

引用:環境省・熱中症環境保健マニュアル2014
普段何気なく摂っている「水」を
- 一日の水分補給の適正量
- 飲む時間やタイミング
- 温度が体に与える影響
など、水が与える体への効果効能を意識しながら取り入れていくのが水ダイエットです。
水ダイエットの効果やメリット
水ダイエットによって得られる効果は主に次の3つです。
代謝が活発になる
まずダイエット成功のカギとなるのは体の「代謝」です。
血液の約50%は水分と言われていますが、水分補給が不足すると血液がドロドロになってしまいます。
血液がスムーズに流れないと、栄養や酸素を運ぶ働きが十分に行われず、体の代謝が低下し痩せにくい体に。
一方、水をたくさん飲むことで体内の水分量が増えると、血液の流れが早くなり細胞が活性化され、代謝が上がると考えられています。
便通が良くなる
ダイエット成功に大事な2つ目が「腸の働きの正常化」です。
腸は、食べ物から栄養を吸収し、そして不要なものを排出してくれる大切な働きをしています。
腸を健康的に保つためには食物繊維や良質な油、ミネラルなどバランス良く摂取する事ももちろんですが、まず一番に必要なのが水。
水を飲むことで、腸が刺激され便秘が解消されやすくなるからです。
体温が上がる
水を摂ることで代謝がよくなり、血液循環と老廃物のデトックスが活発に行われるようになると、エネルギーが使われるためそれだけ基礎体温も上がります。
そして体温が上がることで、脂肪燃焼率も上がるという良いサイクルが生まれます。
現代人は体温が低い傾向にあり、これが基礎代謝や免疫力の低下を招いているのは明らかですが、体温が1度上がることで基礎代謝は12%も上昇すると言われています。
基礎代謝が高い人ほど痩せやすい体質とされるため、体温を上げることはとてもダイエットに役立ちます。
成人が1日に必要な水分量は
体の水分の働きは
- 老廃物などの毒素を排泄(便・尿・汗)
- 体温の調整
- 新陳代謝を良くする
など、体にとても重要な役割を果たします。
水分の出入り量
環境省熱中症環境保健マニュアル(2014)を参考にすると、
(スポーツをしていない普段の日常生活の方でも)1日の水分の出入り量は2.5ℓと言われています。
- 体から出るもの:尿や便、呼吸や汗で2.5ℓ
- 体が摂るべき量:体内で作られる水分(タンパク質や炭水化物、脂肪などの代謝によって得られる水)が0.3L、食事から1.0L、飲み水から1.2ℓ~1.5ℓ程度必要
もちろんこれは平均的な数字で、体重や体調により個人差はあります。
また運動量が多い方は発汗量も多いので、さらにこまめに水を飲むとよいでしょう。
水を飲む量とタイミング
水を飲むタイミングと量ですが、1回に多くの水をがぶ飲みするのは、体への負担が大きいためおすすめできません。
例えば、以下のような日常のルーティンワークの際に意識しながら、
以下のようたタイミングで、小さめのコップ一杯程度(200~250ml)を目安に、小まめに補給するのがおススメです。
- 朝起きたとき 1杯
- 食事 1杯
- 運動時 2杯
- 休憩時 1杯
- 入浴前後 2杯
- 寝る前 1杯
ちなみに食事の時にもっとも効果的な飲むタイミングは「食前」です。
空腹時に水を飲むことで満腹中枢への刺激があり、食べ過ぎを防ぐことができるからです。
また、ジョギングなどの運動時は「開始の30分程前に300~500ml程度の水分」を摂取し、運動中も30分ごとなどこまめに水分補給をすることで、体温の上昇を抑え体の負担も回復も早くなります。
水の飲過ぎは危険な理由と失敗例
水ダイエットが失敗する理由としては次のようなことが考えられます。
水中毒を引き起こす
水を一気に飲み過ぎたり、一日に大量に飲むことで、血液が薄まってしまい最悪は死に至ってしまう「水中毒」という症状があります。
逆に太る
水ダイエットをして逆に「水太りしてしまった」という事例もあります。
- 冷たい水を一気に飲んで胃腸に負担をかけている
- 目安量以上の水を飲む
など、正しく水ダイエットが行われなかったため、尿や汗として水分が排出されずにむくみが起こった状態となっていることが考えられます。
このように水ダイエットを行う時は、
- 量
- 飲むタイミング
- 適切な温度
に気を配る必要があります。温度による体への特性を見てみましょう。
水の温度と特性は
水は、その温度によって
- 身体への負担
- 身体への吸収速度
- 味わい
など、体に与える効果が違ってきます。
ですから、体調や目的によって温度を意識することはとても大切です。
水の温度 | 比較目安 | 体への水分吸収速度 | 胃腸への負担 |
冷たい水(5℃~15℃) | 冷蔵庫で冷やした温度 | ○:速い | ×:大きい |
常温の水(20℃~35℃) | 外気温とほぼ同じで蛇口から出てくる水温度 | △:ゆっくり | △:ほとんどない |
温かい水(60℃~80℃) | 自販機の温かい飲み物と同じ | ×:遅い | ○:無し |
水の温度によって働きを意識する
同じ水であっても、体への吸収スピードが違っていますね。
詳しくその効果などを見てみましょう。
冷水【5~15℃】
冷蔵庫で冷やしていたり、冷水器から出たりする水の温度で、特に喉が渇いているときや、暑い夏の日に外で飲むとおいしいと感じる温度のお水です。
(0℃近くまで冷やした氷水は舌がマヒしてしまうので、おいしさはあまり感じられません)
ただし急激に体温が下げて、胃腸への刺激や負担が大きい温度ですので、飲みすぎには注意してください。
最適な飲むタイミング
- 暑い夏の外出時
- 激しいスポーツで汗をかいたとき
- またジョギングした後
- お風呂上り
などは、体の中から熱くなっています。
その時は体の水分が不足しているので「冷たい水」を飲むことで熱くなった体を冷やし、素早く水分を吸収するのに適しています。
運動時に【5℃~15℃】が適温というのは、科学的にも証明されています。こちらの記事は、サーモス社が行った内容についても紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね↓
常温の水【20~35℃】
いわゆる「湯冷まし」と言われる温度のお水で、冷たくも温かくもないぬるいお水です。
胃腸への刺激が少なく、体温もほとんど奪われず、身体への負荷も少ないため普段の水分補給に適しています。
最適な飲むタイミング
- 薬を服用するとき
- 夏でもクーラーが効いてる場所にいるとき
- 体を動かしていないとき
- 冬の寒いとき
など、このような場合に「冷たい水」を飲むと、ますます体が冷えてしまいます。
こんなときは冷え性を悪化させてしまいますから、「常温の水」もしくは「温かい水」がおすすめです。
温水【60~80℃】
「白湯」と呼ばれる温かい温度のお湯です。
常温と同じく胃腸への刺激や負担が少なく、体内へ吸収される速度も比較的ゆっくりですので、体温を上げる効果があります。
最適な飲むタイミング
- リラックスしたい時
- 就寝前
- 夏場でもエアコン温度が低くて寒く感じるとき
などに飲むと効果的です。
特に寝る前は「温かい水」を飲むことで、副交感神経が優位になり、リラックス効果によって深い睡眠につくことができます。
寝ている間に胃腸をゆっくり休めてあげるためにも就寝前は「温かい水」が一番おすすめです。
目的によって温度の働きを意識する
水の温度によって、体への効果と飲むタイミングをご紹介しました。
今度は目的別に確認してみます。
便秘を改善したい
寝起きに「冷たい水」を飲むと効果的とされています。
冷たい水が胃を刺激することで、ガストリンというホルモンが分泌され、胃が活発に動き出し、小腸へ水分を運び始めることで、便通がよくなるといわれています。
体温をすぐ下げたい
水分の体への吸収は主に小腸で行われます。
ですから、いかに水が早く小腸にたどり着くかがポイントとなってきます。
先ほどお話したケースのように、激しい運動の後のほか、入浴後などの体温が上がり発汗が多いときは出来だけ早く水分を体に吸収する必要があるので「冷たい水」の摂取が有効です。
カロリー消費をアップさせたい
「冷たい水」を飲むと身体は本能的に、体温と同じ温度まで上げようとするためエネルギーを使います。
つまり、冷たい水はより多くのエネルギーを必要とするため、結果的にカロリー消費が多くなると考えられます。
寝起きをスッキリさせたい
朝起きてすぐに飲む水は、温度に関わらず様々な効果があります。
特に「常温の水」や「温かい水」は、胃酸を薄める効果があるので、食べ過ぎ、ストレスなどが原因で吐き気や胸焼け感がある場合におすすめです。
また、朝起きてすぐは副交感神経が優位な状態です。
これをうまく交感神経にスイッチを素早く切り替え、体温上昇や血流増加の準備をするという意味では「冷たい水」もおススメです。
目的や体調に合せた水分補給を
胃腸の弱い方や冷え症の方は「冷たい水」を摂取するメリットよりも、冷え症の悪化や胃腸への負担などのデメリットの方が大きくなってしまう場合もります。
まず、自分の体質や体調を良く知ること、水分量が足りているかをチェックし見直した上で、状況にあった水の温度調整が必要です。
まとめ
「水分補給」といっても、水温によって身体への負荷や吸収速度にずいぶん差が出ます。
- 水の温度
- 飲むタイミングや体調
- こまめに少しずつ水分補給
を意識して、ご自身の体を労わりながらお水の温度にも気を遣ってみてくださいね。