乳幼児~10歳未満の小さなお子さんに多く流行する、
風邪や肺炎症状を引き起こす感染症といえばRSウイルスが有名ですが、
「ヒトメタニューモウイルス」
も警戒されているウイルスの一つ。
名前はあまり聞きなれませんが、大人にもうつる病気です。
子供の方が重症化しやすいと言われているこのウイルス。
・どんな症状が出てしまうのか
など調べてみました。
もくじ
ヒトメタニューモウイルスとは
主に乳幼児~10歳未満の子供に感染する代表的な感染症ウイルスの一つ
は、2001年に初めて発見されたウイルスで、最近注目されはじめた病気です。
一度感染しても、免疫ができないため再感染も多く、
特に低年齢ほど重症化しやすく肺炎などの合併症を引き起こしやすくなるため、
基礎知識をおさえておく必要があります。
ヒトメタニューモウイルスの特長
このウイルスは10歳までにほぼ100%の人が一度は感染するとされ、その後も感染を繰り返します。
気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種。
1~3歳の幼児の間で流行することが多いですが、大人にも感染します。
小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、
ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。
「今回の風邪はなんだか咳がひどい」と感じるときは、
知らず知らずのうちに大人も感染しているかもしれません。
ヒトメタニューモウイルスの症状
ヒトメタニューモウイルス感染症は、風邪症状にとてもよく似ています。
まず、鼻から咽頭までの上気道炎の症状があらわれます。
・咳…1週間ほど
・熱…4~5日ほどと長め
・ひどい鼻水
・頭痛や嘔吐下痢など
注意!ヒトメタニューモウイルスの合併症
しかし症状が悪化してしまうと、ウイルスが気管支や肺などの下気道まで達してしまうため、
次のような重症症状になります。
・高熱が4日以上続く
・呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューと音がする喘鳴
・呼吸困難
・肺炎
・中耳炎
などがあり、同時に細菌感染を起こすことも少なくありません。
熱が4日以上下がらない場合は早めに再受診をおすすめします。
たとえ感染しても、1週間程度で症状は治まっていきますが、
このウイルスは1回の感染では免疫ができないため何度も繰り返して感染します。
年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつくので、大人の症状は子供に比べて軽くなる傾向があります。
ヒトメタニューモウイルス・RSウイルスとの違い
呼吸器系の症状がよく似ている2つのウイルス。
ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスより高熱&発熱期間が長いことが特徴とされています。
RSウイルス | hMPV | |
初感染年齢 | 1歳までに50%、2歳までに100% | 2歳までに50%、10歳までに100% |
流行時期 | 9月~3月 | 年間だが3~6月がピーク |
潜伏期間 | 2~8日 | 4日~6日 |
ウイルス排泄期間 | 7~21日間 | 7~14日間 |
このようにヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスより少し遅れて初感染を受けるとされていて、RSウイルスが流行終えた後の、春先から梅雨の時期に流行します。
ヒトメタニューモウイルスの検査
ヒトメタニューモウイルス検査は病院で診察可能です。
ヒトメタニューモウイルスの構造は、RSウイルスと遺伝子も感染症症状もにていることから、
鑑別を行うために医師から簡易的な検査を進められることもあります。
病院では「迅速診断キット」といって、5~15分程度で鑑別できるのだそうです。
ヒトメタニューモウイルスは保険適応?
ヒトメタニューモウイルスの迅速キットは2014年から保険適応になっています。
しかし、適応の条件としては
感染症が疑われる6歳未満の患者であって、画像診断により肺炎が強く疑われる患者
厚生労働省・臨床検査の保険適応について
とされているため、大人は対象外となっています。
保育園・幼稚園・学校の登園・登校は出席停止?
働くお父さんお母さんにとって気になるのはこの点ではないでしょうか。
ヒトメタニューモウイルスは、学校感染症の第三種感染症という分類で、
「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる伝染病」
という位置づけをされています。
これは、インフルエンザのように必ず出席停止という決まりはないものの、
学校単位で決定することが出来るため、実際には出席停止となる事例が多いようです。
ですから、医師から診断されたときは、すみやかに学校・園に連絡のうえ、指示に従うのが一番確実です。
ヒトメタニューモウイルスに感染したら
咳が止まらない、熱が下がらない、普通の風邪と何か違うと感じたら、まずは病院へ。
ヒトメタニューモウイルス感染症にはワクチンがない(2017年現在)も特効薬もないので、
基本的には症状にあった対処療法で、呼吸困難と脱水症状にならないように注意しながら様子をみます。
・こまめな水分補給(スポーツドリンクなど)
・安静にする
・室温は一定にし、湿度を50~60%に保つ
・熱があるときはお風呂は避ける
・ほこりやハウスダストの除去
・禁煙する
など基本的なことを守って早くなおしましょう。
食事は胃腸に負担をかけないように、なるべく柔らかく消化に良いものにして下さい。
回復するまでには、大体1週間ほどと言われています。
ヒトメタニューモウイルスは大人も感染する
最初にお話ししたように、大人の呼吸器系疾患の2~4%はヒトメタニューモウイルスが原因とされ、大人にもうつってしまいます。
【飛沫感染】…咳やくしゃみで吐き出されたウイルスがつく
【接触感染】…気がつかないうちにウイルスに触れてしまう
などで感染が拡がります。
集団感染を防ぐためにも、家に帰ってきたら、
- 手洗い
- うがい
- マスク着用
- タオルは共有しない(特にバスタオルなど)
を徹底し、 家庭内でも感染対策を。
ウイルスの体からの排出は、2週間以上続くのでトイレ掃除もいつもより念入りにする必要があります。
大人は子供よりも症状が軽いとは言われていますが、実際は
・子供より症状が酷かった
・別の細菌感染を引き起こして大変な目にあった
というような体験談も聞かれますので、油断はできません。
まとめ
ヒトメタニューモウイルスは名前は聞きなれませんが、
RSウイルスと同様、子供時代に100%の人が一度は感染する呼吸器感染症の原因ウイルス。
RSウイルスの流行が秋から翌年春に対して、ヒトメタニューモウイルスは春先から梅雨の時期にピークを迎え、しかも熱や咳が長引き重症化しやすい傾向にあります。
どんなウイルスにも予防に効果的なのは、
- 手洗い
- うがい
ですので、家に帰ったら家族みんなで習慣づけておきたいですね。