毎年秋の終わりから春にかけて猛威をふるう感染性胃腸炎。
感染源としては、ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスが有名です。
日ごろの予防対策として
- 手洗い
- うがい
はかかせませんね。
また、これらのウイルスを死滅・消毒きる有効なアルコールといえば
「次亜塩素酸ナトリウム」
「エタノール消毒剤」
がご家庭でも使いやすいものになります。
ただ、使う際の
選び方・使い方・濃度
を間違ってしまうと、せっかくの消毒効果が発揮できないことに。
・次亜塩素酸ナトリウムの濃度や作り方
・有効なエタノール消毒剤の選び方
など紹介したいと思います。
もくじ
感染性胃腸炎の種類
一言で「感染性胃腸炎」と言っても、原因となる病原体はさまざまあります。
大きく分けると
・細菌性胃腸炎
・寄生虫
と3タイプに分けられ、いずれも胃や小腸、腸などに感染し、
- 激しい下痢
- 腹痛
- 発熱
などの炎症を起こします。
そして、冬の時期はウイルス性によるものが圧倒的に多くなります。
ウイルス性胃腸炎の病原体
感染症胃腸炎を引き起こすウイルスには具体的にどんなものがあるでしょうか。
【ノロウイルス】
たびたび飲食店や学校などで集団感染を起こし、いちばん話題になるウイルス。
大人が感染するのは、ほぼノロウイルスです。
【ロタウイルス】
2歳未満の子供に多いとされるウイルス。お米のとぎ汁のような白い便が出るのが特徴です。乳児については、任意でワクチン接種を受けることもできます。
【アデノウイルス】
3歳以下の子供に多い。夏期に主に流行しますが、1年中活動しているウイルス。
が代表的です。
病原体についてより詳しくはこちらです↓
感染性胃腸炎に有効な消毒剤2種類
これらのウイルスはいずれも、消毒剤に対して比較的高い抵抗性を持つウイルスです。
有効な消毒剤としては、
① 200ppm・1000ppm次亜塩素酸ナトリウム消毒液
② 消毒用エタノール(ノンエンベロープ対応のもの)
の2つがあります。
①200/1000ppmの次亜塩素酸ナトリウム消毒液
これら3つのウイルスに有効とされている
『次亜塩素酸ナトリウム消毒液』
市販の商品だと
- ミルトン
- テキサント
- ハイボライト
- ピューラックス
などのが有名です。
しかし、これらを特別に購入しなくても、
ご自宅にある『キッチンハイター』などの塩素系漂白剤でカンタンに作ることができます。
基本的に200ppm・1000ppm濃度を使い分ける
『次亜塩素酸ナトリウム消毒液』を使う時に必ず出てくる『ppm』という単位。
これは、消毒液の濃さを表していて、%に変換すると次のようになります。
ppm | % |
100万ppm | 100% |
10万ppm | 10% |
1万ppm | 1% |
1,000ppm | 0.1% |
200ppm | 0.02% |
10ppm | 0.001% |
1ppm | 0.0001% |
例えば、
塩素濃度約200ppmの消毒液=0.02%の消毒液
という意味です。
単位について方程式や、計算方法、キッチンハイターでの作り方など
詳しくはこちらでまとめています↓
手や口に触れるものの消毒は200ppmの濃度
基本的に、おもちゃ、調理器具、直接手で触れる部分などには、次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)の消毒液を用います。
消毒液に 10 分くらい漬けてから水でよくすすぎます。
処理・廃棄などは1000ppmの濃度
②アルコール消毒剤(ノンエンベロープウイルス対応)
ウイルスといっても種類はさまざま。
これらのウイルスは、
一般的なアルコール消毒はあまり効果がないとされていますが、有効なものもあります。
ウイルスは構造で2つにわけられる
ウイルスは構造上
- エンベロープの有るもの(エンベロープウイルス)
- エンベロープの無いもの(ノンエンベロープウイルス)
の2つに分けられます。
エンベロープとは?
エンベロープ(envelope)とは英語で
「包み」「封筒」「外被」
などの意味です。
ウイルスのエンベロープとは、意味の通りウイルス細胞を包んでいる「膜」のことで、脂肪・タンパク質などからできています。
ウイルス2種類の特徴
図のように、エンベロープ(膜)は、アルコールで破壊することができます。

サラヤ株式会社『ノンエンベロープウイルスとは』の資料をもとに作成
エンベロープ(膜)のあるエンベロープウイルスは、アルコール消毒剤が有効なのに対して、
エンベロープ(膜)のないノンエンベロープウイルスは、
ダメージを受けにくく、アルコール消毒剤が一般的に効きにくい傾向があります。
そして図のように、
感染症胃腸炎ウイルスの、3種類のウイルスはいずれもノンエンベロープウイルスに分類されます。
一般的なアルコール消毒剤とは?
一般的なアルコール消毒剤は、有効成分のエタノールのphが中性のもの。
では、ノンエンベロープウイルスに有効なものは何かというと
が効果的とされています。
「市販のアルコール消毒剤なら全部同じなのでは?」
と一般消費者の私は認識していたのですが、全然効果が違うようですね。
おすすめ市販商品はこちら!
たとえば商品名「手ピカジェル」は有名です。
健栄製薬手ピカジェルプラス 60ml〔除菌・消毒関連〕 (テピカジェルプラス30M)
今は、さらにバージョンアップした「手ピカジェルプラス」があります。
エタノールのpHを人の素肌に近い弱酸性にして、殺菌力を高めた消毒用アルコールジェル。
メーカーの健栄製薬によると、
ということで、ノンエンベロープウイルスの殺菌消毒に適しています。
SARAYAの「ハンドラボ」シリーズも、ノンエンベロープウイルスを含む、幅広いウイルス・細菌に有効です。
これらの「酸性アルコール消毒剤」は、
今までどおりインフルエンザウイルスなどのエンベロープウイルスなど含め、
広範囲のあらゆるウイルスに効果があります。
ですから、お家に1本あればお子さんも大人の方も安心ですね。
アルコール消毒剤の使い方を見直そう
紹介した消毒剤の使用は、使う対象年齢制限などは特に決まっていないようですが、小さいお子さんの場合、保護者の方はきちんと見ててあげたいですね。
せっかくの消毒効果がしっかり発揮できるように
- 手のひら・甲含めて、全体的に
- 指の一本一本先まで、指の間も忘れずに
- しっかり全体にすり込ませる
というポイントも一緒に練習すると安心です。
手洗いを見直そう
感染症胃腸炎だけでなく、多くの病気や食中毒は、原因となる病原体が付いた手で料理を作ったり、食事をしたり、目や鼻をこすることによって発症してしまいます。
ですから、感染経路となる
「手」
を清潔にしておくことが、予防に最も有効なのは言うまでもありません。
なぜ手洗いが大事なの?
石けん自体に、ウイルスを直接失活化することはできませんが
・手の脂肪等の汚れを落とすことで、ウイルスを手指から剥がれやすくする
・もともと手指に付着しているウイルスの数を減らす
という点でとても重要になります。
普段の手洗いがしっかり出来ているか、この機会にご家族でぜひ一緒に練習してみてくださいね。
正しい手洗いとは
ポイントや確認したい点は次の通りです。
- 常に爪を短く切って、指輪や時計などは外す
- 石けんを十分泡立てる(固形タイプは不潔になりやすいので液体が良い)
- 指先、爪の間は特に念入りに
- 親指は反対の手でねじり洗い
- 手首もあらう
- すすぎは温水がベスト、30秒以上は流水で十分に行います
- 感染症患者がいるときは、使い捨てのペーパータオルを使うなど、タオルの共有は避けた方がよいでしょう

引用:厚生労働省ノロウイルスQ&A
まとめ
寒い時期に流行するノロウイルスを始めとしたウイルスは、どれも強力で感染力が強いものばかりです。
今一度、基本的な
- 手洗い
- うがい
をご家族でまずは見直して、有効的な消毒液を選んで使うようにしましょう。
もちろん、[免疫力を上げる食事]を中心に、もともと感染症にかかりにくい強い体作りを心掛けることも大切です。