RSウイルスは「秋のインフルエンザ」ともいわれていて、乳幼児は2歳までにほぼ100%感染すると言われています。
- 鼻水
- 発熱(38度くらい)
- 軽い咳
などが最初に症状としてあらわれる、呼吸器系に影響があるウイルスの一つです。
感染力がとても強く、一生のうち何度もかかる可能性があるため、大人であっても油断はできません。
とくに、免疫力が低下する妊婦さんにとってもRSウイルスは感染しやすので、妊娠中に感染してしまったら
- 胎児への影響
- 薬は飲んでいいのか
- 生まれた赤ちゃんが感染したら
などは大変気になるところですね。
その注意点などについてお伝えしたいと思います。
もくじ
RSウイルスに妊娠中は感染しやすい
RSウイルスは、秋~冬の寒い時期に毎年流行するウイルスです。
感染すると喉や気管支などの呼吸器系に症状が現れるのが特徴です。
大人が感染すると
- 軽い発熱
- 軽い咳
- 鼻水
- くしゃみ
が数日続くだけで完治することも多いため「風邪の症状の一つ」として、RSウイルスだとは気が付かないこともあります。
しかし免疫力が低下している、または極端に弱い状態の
- 妊娠中の方
- 高齢者の方
- 小さなお子さん(特に2歳児まで)
- 体がもともと弱い抵抗力のない状態の方
にとっては、より感染しやすく
- 気管支炎
- 肺炎
などより重症化することもあるので注意が必要です。
RSウイルスの胎児への影響は
先ほどお話ししたように、RSウイルスに感染すると、大人の場合は症状が軽いため
鼻や喉のあたりの「上気道」と言われる部分に症状がでます。
- 喉を潤してケアする
- 鼻を噛む
などしていくうちに、早めに回復することが多いようです。

引用:ヤクルト中央研究所-健康用語の基礎知識-
しかし、体力が低下している場合は悪化してしまう為、
肺や気管といった「下気道」部分までウイルスが到達してしまうことで
- 呼吸音がぜいぜいと音がする
- 気道が狭くなることで発するヒューヒューという「喘鳴」
の症状が現れ、もともと喘息など呼吸器系に疾患を持つ人にも多いそうです。
対処する薬としては
- 気管支を広げる薬を使う
- 熱が出ていれば解熱剤を使う
などを利用しますが、大人の場合は重症化しにくいので、
できれば薬は服用せず、安静にして睡眠や栄養を取るようにしましょう。
また、妊娠中は薬の服用ができないことと、そもそもRSウイルスには抗生剤などの特効薬が存在しないため、
安静にして睡眠や栄養を取りながら、少しずつ症状の回復を待つしかありません。
胎児への影響
RSウイルスは、妊娠中の感染でも、
「お腹の胎児へは特別影響はない」
とされているので、その点についての心配はありません。
しかし、RSウイルスに感染し弱っている妊娠中の体は、他の細菌へ感染しやすい状態でもあるため、無理をせず経過をよく観察するといった注意点があります。
念のためかかりつけの産婦人科を受診し、RSウイルスへの感染の疑いがあれば「内科」などでも検査を行うと安心です。
RSウイルスは出産後は特に要注意!
妊娠中にRSウイルスに感染しても、重症化の症状がない限り、特に胎児への影響はないため心配はありませんが、
一番気をつけたいのは産後の赤ちゃんについてです。
RSウイルスは、出産後の年齢が低い赤ちゃんにとっては、特に重症化しやすい危険なウイルスだからです。
2017年は特に発症例が多い
国立感染研究所によると、2017年は2007年から比較して、例年の同じ時期に比べるとRSウイルスの発症例が約5倍以上も多く報告されています。
2017年第33週(8月14日~8月20日)は5,389例と増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約75%を占めている。
とされているので注意が必要です。

引用:国立感染研究所 感染症動向調査
RSウイルスは、特に1歳未満の乳児の場合、インフルエンザよりも死亡数が多いというデータもあるほど、小さなお子さんにとっては大変危険なウイルスなのです。
重症化しやすい赤ちゃん4タイプ
重症化しやすい赤ちゃんには次のような例が挙げられます。
- 初めて感染した赤ちゃん
- 生後3か月未満
- 早産児
- 心肺などに特定の疾患がある赤ちゃん
RSウイルスに感染した赤ちゃんの症状や治療法
症状は、軽い風邪のような症状から重い肺炎までさまざまですが、
- 細気管支炎
- 肺炎
といった重篤な症状を引き起こす可能性が高くなります。
特に生後数か月の赤ちゃんは、診断が困難なことも多く、突然死を引き起こす無呼吸発作にも繋がります。
また、赤ちゃんにとってもRSウイルスは特効薬はないため、対症療法を行いながら経過を観察するしかありません。
呼吸困難を起こしたり、脱水症などの症状があれば、すぐに入院治療で点滴を投与し、人工呼吸器をつけて無呼吸発作を予防する対応が必要になります。
出産後の小さな赤ちゃんの場合は、軽く見ずに症状をよく観察し、場合によってはすぐに病院を受診することが大切です。
RSウィルスの強すぎる感染力はいつまで続く?
国立感染研究所によると、RSウィルスの潜伏期間は
典型的には4〜6日と言われています。
そして通常7割ほどの人は1~2週間くらいで症状が治まりますが、
症状が軽くなっていても
7~21日間はウイルスが体の中に停滞していて感染力が残っている
とされているので、
- 特におむつ替え時の便の扱い
- くしゃみなどを通して感染する
というような感染経路には注意が必要です。
まとめ
RSウイルスに妊娠中に感染した時の胎児への影響や、小さな赤ちゃんに対するRSウイルスの影響力などについてお伝えしました。
RSウイルスには2歳までの乳幼児には100%感染すると言われていて、1度かかっても体に免疫がつきにくいため、
特に妊娠中で免疫力が低下している妊婦さんは、RSウイルスに再感染する可能性があります。
胎児への影響はないので心配はないですが、薬の服用はできないため、他の細菌や感染症のリスクを予防するためにも安静にしておくことが大切です。
RSウイルスは、治ったと思っていても、少なくとも1ヶ月の間はRSウイルスが体から便などを通して排出し続けるので、日頃から予防を心掛けることも大切です。