梅雨も終わりに近づくこの時期、湿気の多さに加えて気温が急上昇し、早くも日中30度を超すようになってきました。
暑さが本格化するのに合わせて、毎年報告されるのは「食中毒」ではないでしょうか。
アニサキスが以前話題となりましたが、また違う寄生虫による食中毒が注目されています。
それが「クドア」です。
今回はその症状や対策などをご紹介したいと思います。
もくじ
クドアとは
クドアとは正式には
という名前の、主にヒラメやマグロに寄生するクドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。
アニサキスのように、肉眼では確認できるわけではないため外見では分かりません。
また味もにおいもなく、お刺身やお寿司につかう醤油やわさび、生姜で予防できないため、そこにクドアによる食中直予防の難しさがあります。
魚の筋肉組織の中に存在していて、胞子状に増えていくのが特徴です。
2016年の患者数はアニサキスの倍だった!
厚生労働省が発表している食中毒発生状況を調べてみると、
2016年の患者数は259人で、アニサキスの126人の倍以上です。

アニサキス 出典:厚生労働省
今年に入ってからは真冬の時期を除いて、ほぼ毎月のように患者が確認されています。
東京都福祉保健局のウェブサイトによると、8~10月に一番多いとのことなので、
これからの時期とくに注意が必要です。
https://kenkokampo.com/lifestyle/meal/meat_food_poisoning/9521/
クドアの画像
実はクドアが食中毒の原因として認定されたのは2010年。
それまでは“謎の食中毒”として、ノロウイルスなど一般的な細菌と同じ扱いだったそうです。

クドア 出典:厚生労働省
なんだか花柄のようにも見えますね。
1つの個体の大きさは10μm(マイクロミリメートル)!
1mm=1000μmなので、0.01mmの大きさということになります。
顕微鏡でしかみるこのできない大きさですね。
クドアの食中毒はどんな症状?
クドアによる食中毒は、食後数時間で
- 一過性のおう吐
- 下痢
を発症しますが、たいてい症状は軽く、死亡例も今までありません。
ですから、今のところは、クドア胞子が長時間人体にとどまる可能性も、人へ感染することも無いと考えられています。
食中毒の中では軽いほうだと言えますが、抵抗力の弱いお子さんや高齢者の方は重症化することもあるのでやはり注意が必要です。
クドア食中毒の治療は
クドア食中毒は軽症といってもやはり怖いものです。
食後数時間で下痢や嘔吐などの症状が現れたら、できるだけ病院を受診するようにしましょう。
体の水分が失われますので、水分補給はしっかり行っておくようにします。
水よりもスポーツ飲料水のような、塩分やイオン、ミネラルなどが含まれているものの方がよいですね。
病院を受診し適切な治療をしたら、帰宅後は安静にしているのが一番の回復の早道です。
予防策は徹底した冷凍と加熱
ではどうすればクドア食中毒は防げるのでしょうか。
厚生労働省では下記のように呼びかけています。
クドアは、-20℃で4時間以上の冷凍、または、中心温度75℃5分以上の加熱により病原性が失われることが確認されていることから 、一度凍結したのちに喫食したり、加熱調理することにより食中毒は防止できると考えられています。(厚生労働省-クドアによる食中毒について-)
「冷凍」または「加熱」調理で防止できるとのことなので、やはりこれからの時期はお刺身などは特に気を付けたほうがいいかもしれませんね。
まとめ
クドアの食中毒症状は軽いものの、味覚や視覚で確認できないので見極めが大変難しいです。
厚労省が公開している「生食用生鮮ヒラメによるクドアの食中毒発生状況」を見ると、患者数は2011年の473人をピークに減少傾向ではあると言いますが、まだまだ注意が必要です。
これから暑くなる時期は、ヒラメやマグロを食べる際は、冷凍保存または加熱調理でしっかりクドアを死滅させて、安心して食べるようにしたいですね。