身体の健康維持に欠かせない「塩分」
暑いシーズンになると水分補給には水だけではなく、塩分と糖分が配合された「スポーツドリンク」や「経口補水液」などを意識的に摂るようにしている人もいると思います。
塩分摂取はとても大事ですが、過剰な摂りすぎはもちろん危険です。
[食塩中毒] [塩化ナトリウム中毒] [高ナトリウム血症]
などともいわれる塩の摂り過ぎで引き起こす様々な症状。
- なぜ塩を摂りすぎると危険なのか
- 大人(成人)が気をつけたい減塩ポイント
など紹介したいと思います。
もくじ
体に必要な塩分濃度とは
成人の体内の水分量は体重の約60%。適切な塩分濃度は0.85%~0.9%と言われています。
塩とは科学的には「塩化ナトリウム(NaCl)」といって、過剰になると
「体液中のナトリウム濃度」より高く(濃く)なる
ことで、体内の塩分濃度が上昇します。
ですから例えば海水浴などに行かれて、ノドが乾いたときに海水を飲むという行為は、
体の塩分濃度をますます上昇させることになるため大変危険です。
成人の塩の適量摂取量
「塩の摂りすぎは危険・減塩生活を」とはよく言われます。
2015年厚生労働省が推奨する食塩摂取量の一日の目標量は
【健康な成人の場合】
- 男性 : 8.0g未満
- 女性 : 7.0g未満
とされていますが、実は
世界保健機関(WHO)世界基準で推奨されている成人の目標は5.0 g
これは、日本政府が定めた高血圧などの治療を要する人の6gよりも少ない数字です。

引用元:減塩ネット
参考:“大人は塩1日5g未満にWHOが健康指針”(日本経済新聞)
大人の食塩致死量
実際の食塩致死量はどれくらいかというと、もちろん個人差はありますが一般的に
・食塩の致死量は、体重1kgあたり0.5~5g
・体重60kgでは、30~300gの食塩摂取で死亡
といわれています。
食塩中毒の症状とは
食塩中毒の症状としては、
「喉が渇く・口が渇く」
など軽度から、進行すると血中のナトリウムの濃度が上昇するため、症状が進行すると
「錯乱・けいれん・昏睡・クモ膜下出血」
などの深刻な症状を起こしうる電解質異常症といわれる症状の一つです。
子どもと高齢者は特に注意
特に小さいお子さん(乳児・赤ちゃん)は
- 自分の意志で水分摂取ができない
- 過剰物質を排出する腎臓機能が成熟していない
高齢者の方は
- 水分摂取困難
- 暑くても喉が渇く自覚症状がにぶい
- 腎臓機能の低下
などの傾向があるため、食塩中毒のリスクが高くなってしまいます。
塩分過剰摂取ではなく脱水も原因
食塩中毒は、過剰な塩分摂取で引き起りますが、じつは脱水によって引き起こす場合もありあます。
水分をほとんど摂らずにいると、体液が奪われ脱水症になり、嘔吐、下痢、結果体のナトリウム濃度が上昇するのです。
関連 脱水症状と熱中症のちがい
食塩中毒の治療
食塩中毒になると、まず本能的に喉が渇きます。ですからまずは水分を補う事が大切です。
病院では、患者の症状に応じて水とナトリウム濃度が調整された補液を点滴します。
外食やインスタント食品は要注意
日本人の食塩摂取量は世界的に見ても高い傾向があり、22年度「国民健康・栄養調査」によると一般成人の食塩摂取量は約11g。
国際基準5gを考えると、なんと倍以上の塩分を取っていることになります。
加工食品の塩分量目安
以下の食材や塩分量をぜひ参考にしてみてください。
食パン(6枚切り)1枚 | 0.8g |
バター大さじ1 | 0.2g |
ベーコン1枚 | 0.4g |
ロースハムうす切り1枚 | 0.5g |
プロセスチーズ1切れ | 0.8g |
ちくわ1本 | 0.6g |
梅干し1個 | 2.9g |
レトルトカレー | 2.8~3.9g |
インスタント袋ラーメン | 5~6g |
朝食だけでも、バターにトースト、チーズにハム…
これに醤油をかけたり味噌汁をプラス、サラダにドレッシング…
一つ一つは大した量に見えないかもしれませんが、複数の食材を一日に食べることで、
知らず知らずのうちにかなりの塩分を摂取することになりますね。
外食の塩分量目安
そして、もっと注意したいのは外食です。
外食料理の塩分量目安(1人前) | |
ピザ | 1.2~3g |
ハンバーガー&ポテト | 2.5~3g |
牛丼 | 3~4g |
コンビニ弁当 | 3~5g |
カツ丼 | 4.5g |
天ぷらそば | 4.5~5g |
すき焼き定食 | 6~6.5g |
とくに外食やインスタント食品に依存した食生活を送っている方は、
かなりの注意が必要です。
塩分の摂りすぎで抜け毛のリスクも
塩分の摂り過ぎは、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病を引き起こすとだけでなく、
血流循環が悪くなることで、頭皮への影響もある事がわかっています。
栄養の循環が停滞して、頭皮への栄養の供給が衰えることで、結果髪を育てるための栄養が不足し、抜け毛や薄毛につながる可能性があるのです。
減塩のポイント
減塩のポイントは次のとおり。
- 麺類のスープはなるべく飲まない
- しょうゆを食材にかけすぎない、小皿でつけて食べるなど工夫を
- 塩のかわりに、お酢や柑橘類(カボス、レモンなど)、薬味(七味、山椒、コショウなど)を用いる
- 普段の食材を、塩分控えでヘルシーなものに置き換える(ごはんを玄米に、食パンをライ麦パンになど)
- 自炊を心がける
体内の余分な塩分を排出する作用がある、カリウムを積極的に摂取することもお勧めです。
カリウムは新鮮な野菜や果物などに多く含まれていますので、積極的にとりいれましょう。
関連 カリウム・ナトリウムなど体に必要な必須ミネラル16種類の覚え方
まとめ
塩分や添加物がたっぷりなものは、おいしいと感じやすく食べ過ぎてしまいがちですね。
減塩を意識した生活は、毎食コツコツ続ける地道な努力が必要ですが、だんだんと素材本来の香りを味わう楽しさが出てくるものです。
未来への健康な体づくりのために、少しずつでも慣れていくことが大切です。
↓「子供の食塩中毒」などについて、こちらの記事も関連性が高いですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。