牡蠣の食中毒といえば代表的なものが『ノロウイルス』ですね。
症状としては
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 発熱
- しびれ
など、嘔吐のみ・下痢だけのいずれかだったり、全ての症状が一度にでたり…
軽度・重度それぞれ個人差はありますが、どれも大変辛いものです。
しかし、牡蠣にあたる原因はノロウイルスだけではありません。
- 他にどんな原因で牡蠣にあたるのか
- それぞれの症状の特徴や潜伏期間
- 回復までの対処法
など紹介したいと思います。
もくじ
食中毒とは
「食あたり」とも表現される食中毒。
季節問わず、いろんな食材から発生事例が多く報告されます。
食中毒と一言で言っても、その原因となるものはさまざまあります。
② ウィルス
③ 寄生虫
④ 自然毒
⑤ 化学物質
おもにこの5つに分類されます。
③ 寄生虫の「アニサキス」なども最近は大きな話題となっていますね。
⑤ 化学物質の食中毒とは、極端に汚染した場所から捕獲された、不衛生な扱いをされた魚介類でなければまず心配はありません。
では、牡蠣を食べて引き起こす食中毒とは一体どんなものがあるのでしょう。
牡蠣が食中毒になりやすい理由
牡蠣は“海のミルク“という代名詞の通り
- タンパク質
- カルシウム
- 亜鉛などのミネラル類
をはじめ、さまざまな栄養素がぎっしり含まれています。
カキは一粒あたり、一日約300リットルもの海水を、吸い込み&吐き出しを繰り返しているため、それだけ海の栄養成分が濃縮しています。
しかし、逆にその分、有害物質も蓄積しやすいという欠点もあるのです。
二枚貝とは
牡蠣などの『二枚貝』と分類される貝類は、プランクトンを主食にしています。
二枚貝というのは他に
- アサリ
- シジミ
- ハマグリ
- ホタテ
などがあります。
牡蠣の食中毒①ノロウイルス
牡蠣の食中毒といえばこれ!といわれるほど有名なウイルスで、集団感染につながることも多いノロウイルス。
- 吐き気
- 激しい下痢
- 腹痛
- 軽度の発熱
などを引き起こします。
症状の特徴
潜伏期間や、症状の持続する期間も比較的短期間ですが、一日10回以上も繰り返すほどのひどい下痢や吐き気が特徴です。
潜伏期間 | 24~48時間 |
症状持続目安 | 通常3日以内には回復し後遺症もありません |
発生時期 | 一年中発生、特に冬場に多い |
生息地 | カキやアサリ等の二枚貝の中に多く生息します |

引用:東京都福祉保健局(直径30~40nm前後の球形)
集団感染の原因は
ノロウイルスは、牡蠣の加熱不十分や生食により直接食べて感染するだけでなく、
感染者のくしゃみや咳を吸い込んだり、間接的に同じものに触れて感染します。
- おう吐物
- 下痢便
- 汚れた衣服
これらには大量のウイルスが付着しているため、わずかな量のウイルスを吸い込んだだけで、容易に人に感染してしまったり、
同じ洗濯機を使うことで他の衣服にウイルスが付着して感染します。
消毒方法など詳しくはこちらです↓
予防法
手洗いや食材の十分な加熱、感染者の嘔吐や便などの適切な処置や消毒で予防します。
治療法
ノロウイルスに対しての特効薬や抗生物質はありません。
症状の持続する期間は比較的短いので、脱水症状にならないように、水分の補給をしたり、場合によっては病院で点滴をしてもらいます。
「下痢止め薬」はウイルスを排除しようとする腸管の動きを止めてしまうので、一般的には使用しない方が良いとされています。
安静にしていれば数日で良くなるノロウイルスですが、体力が低下した高齢者や乳幼児の場合は重症化して肺炎などの合併症を引き起こすこともありますので、状態をよく観察することが大切です。
牡蠣の食中毒②腸炎ビブリオ
海水に含まれる細菌類で有名なものに腸炎ビブリオがあります。
ある一定温度の温かい海域では増殖してしまうため、特に夏に多く発生します。
増殖した菌が牡蠣に付着し、それを食べることで食中毒を引き起こします。
- 強烈な腹痛
- 繰り返す下痢
- 吐き気
- 発熱
などを引き起こします。
潜伏期間 | 6~24時間(平均12時間) |
症状持続目安 | 2~3日 |
発生時期 | 主に夏 |
生息地 | 水や海中の泥に生息する細菌で牡蠣のほか魚介類全般 |

引用:東京都福祉保健局(大きさ0.3×2µm程度)
症状や予防の特徴
一般的に人から人へはうつることはないと考えられていますが、
- 細菌の付着した調理器具に触れることで感染する場合がある
- 気温や温度が高いほど増殖する
- 真水には弱い
- 加熱すると死滅
という特徴があるので、特に夏場には良く水道水で洗って、常温で放置しないことが大切です。
治療
ノロウイルス同様に特効薬はないので、脱水予防に心掛けます。
下痢止めも一般にあまり使用されません。
牡蠣の食中毒③貝毒
貝毒(かいどく)とは、魚介類そのものが持つ
動物性自然毒
のことです。
貝が餌とするプランクトンの中には有毒なものも含まれていて、それが内臓に蓄積されてしまうと貝毒となります。
実際は農林水産省が貝毒に対しての規制値を設けているため、貝毒で食中毒を起こす人はごく少数です。
貝毒の特徴
貝毒の特徴としては、
- ウイルスや細菌と違い、加熱しても無毒化しない
- 毒化していても味は変わらない
という特徴があるため、一度発生してしまうと潮干狩りなどのスポットは、その年閉鎖してしまうようなニュースが毎年聞かれます。
貝の種類によって、食中毒の症状には違いがあります。
貝毒の症状と潜伏期間
貝毒には
- 「麻痺性貝毒」
- 「下痢性貝毒」
の主に2種類があり、原因となる貝は
などがあります。
「麻痺性貝毒」はフグ毒中毒に似ていて、口周りのしびれや違和感から始まり、
次第に顔から全身へと症状が広がり、最悪の場合は呼吸困難で死亡する場合もあります。
潜伏期間は30分ほどで、1日ほどたてば良くなっていることが多いため、
特に治療法はありません。
「下痢性中毒」の潜伏期間は30分~4時間ほどで、激しい下痢と嘔吐などが中心となり、
発熱が見られないことが他の食中毒との違いになります。
約3日程度で全快するとされていて、死亡例は今までないそうです。
牡蠣の食中毒④食物アレルギー
牡蠣を食べるたびに調子が悪くなる…食中毒だと思っていたら実は牡蠣アレルギーだった!
という事もあるかもしれません。実は牡蠣にも、食物アレルギーはあります。
小さい頃は食べても大丈夫だったのに、成人したら急に牡蠣アレルギーになった…という事例も多くあります。
牡蠣アレルギーがある食品
牡蠣アレルギーは、牡蠣そのものだけではなく、
- 牡蠣の入った食品
- オイスターソース
- カキなべの汁
など、火を通したものでも、加工品であっても、牡蠣に関する食品なら全ておこりうるアレルギーです。
牡蠣アレルギーの症状
症状としては、
- じんましん
- 発疹
- 呼吸器障害
- のどや口のかゆみ
- 嘔吐
- 下痢
- アナフィラキシーショック
など多くあり、人それぞれどの症状がでるかも個人差があります。
牡蠣の食中毒とよく似た症状が出るので気が付かない人もいるほどです。一つずつ見ていきましょう。
じんましん・発疹
牡蠣アレルギーの方の約80%の方がこの症状と言われています。
食べてから短時間でかゆみを伴う湿疹がぶつぶつとでき始めます。
症状が重くなると湿疹は全身に広がりかゆみもとても強くなりますが、
大抵の方はは2~3時間程度でその症状はきれいに元通りにおさまるようです。
対処法としては強いかゆみを伴うためよく冷やすことをしましょう。
患部を冷やすことで強いかゆみもおさまる傾向にあります。
呼吸器の症状
咳やくしゃみ・ゼーゼーするなど、“少しいつもの咳と違う”と感じるような症状があらわれます。
強い圧迫するような衣服を着ている場合、
・ゆるやかなものに着替える
・ベルトなど圧迫するものは外す
などをしながら体を楽にして様子をみましょう。
喉や口のかゆみ
・唇やまぶたが腫れるなどで見た目が変わる
・のどの粘膜が腫れて声がかすれる
・息がしにくくなる
というような症状が出ます。
のどの粘膜が腫れて、あまりに呼吸がしづらいほどになってしまったら大変です。
その時は至急救急車を呼ぶ対応が必要です。
下痢・嘔吐
牡蠣の食中毒と同じように、下痢や嘔吐の症状が出ることがあります。
対処法としては、下痢や嘔吐での脱水症状に気を付けるようにしましょう。
スポーツドリンクなどで水分補給をしながら、胃腸を休めてください。
仰向けで寝てしまうと、もしも寝ているときに嘔吐があった場合窒息の可能性があるので、横向きに寝ることもおすすめします。
アナフィラキシーショック
牡蠣アレルギーは時に命に関わるアナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。
発症した場合は、すぐに救急車を申請する必要があります。
【アナフィラキシーショックとは】
ある特定のアレルギー物質に対して、体が過剰に反応して暴走状態になること。
急速な血圧低下を起し、ショック状態になります。意識障害や呼吸困難となり、最悪の場合は命に係わります。
通常は食べてから30分ほど経って様子に変化がなければショック反応は無いと考えて大丈夫です。
牡蠣アレルギーで気を付けること
牡蠣アレルギーに関しては、軟体動物間では共通性が強いとされているので、
・イカアレルギー
・そのほか魚介類のアレルギー
がある場合は、注意をしておいた方がいいでしょう。
予防法としては
「牡蠣または関連の加工食品を食べない」
これしかありません。
牡蠣アレルギーは、症状によっては迅速な対応が必要になりますので、注意が必要です。
牡蠣は[生食用]と[加熱用]をしっかり区別
みなさんはスーパーで牡蠣を売っている商品に、
「生食用」と「加熱用」
があるのはご存知でしたでしょうか。

牡蠣のアヒージョ
実はこの2つの違いというのは、鮮度の違いではありません。
「生食用」は綺麗な指定海域で採れたものをさらに殺菌処理しています。
「加熱用」は生食を想定していないため、必ずしっかり中まで火を通して食べるのが鉄則です。
詳しい下処理法などはこちらの記事がお役に立ちます↓
まとめ
栄養たっぷりな牡蠣ですが、さまざまな食中毒リスクがあるのも事実です。
加熱すればウイルスや菌は死滅できますが、牡蠣アレルギーや貝毒には効果が無いので注意が必要です。
牡蠣を食べる際の注意点には気を付けて、安全に、美味しく食べたいですね。