ふとした瞬間の不意打ちのようなめまい(眩暈)。
・ちょっと下を向いたとき
・寝返りをうったとき
・ベッドから起き上がった瞬間
目の前がぐるぐる・立っていられないほどふらふら…
その時はすぐに治まるのに、日中もたびたび「めまい発作」が襲ってくる。
このよう症状の方は多いそうです。
今回は特に
で考えられる原因や具体的な病名・対処法などご紹介をいたします。
めまい表現はおもに3種類
めまい症状の表現は便宜上、主に次のような3種類に分けられています。
回転性のめまい(ぐるぐるめまい)
自分や周りがグルグル回っている感じの“回転性めまい“。
- 目が回る
- まっすぐ歩けない
- 天井がグルグル回る
- 自分のまわりの景色が回っている
などと表現されるめまいで
“グルグルめまい“
といえます。
浮動性のめまい(ふわふわめまい)
“非回転性めまい“ともいわれ、身体がユラユラ揺れているような感じのめまいは、
めまいの時間も比較的長く、気分も悪くなりやすいものです。
- 体がフワフワした感じ
- 雲の上を歩いているような感覚
などと表現されるめまいで
“フワフワめまい“
といえます。
失神めまい(立ちくらみめまい)
立ち上がるとクラクラっときたかと思ったらそのまま失神…という危険もありえるめまい。
- 目の前が急に真っ暗になった
- 谷底に引きずり込まれるように感じた
- 頭からスーツと血の気が引いていくような感覚
などと表現されるめまいで
“立ちくらみめまい“・“失神めまい”
といえます。
耳や脳の神経の異常よりも、脳に送られる血液の量が一時的に不足(酸欠状態)することで起こりやすく、
- 貧血・ストレス、過労・低血圧・自律神経の乱れ
- 首の骨や筋肉の異常
などで症状が出やすくなります。
めまいの種類
めまいが起こるそもそものメカニズム。
この現象は、
からだのバランスを保つ機能に何らかの障害が起こっているから
といえます。
“体のバランスを維持=平衡(へいこう)感覚を保つ“
といいますが、おもに人間の平衡感覚を保っているのは
- 目
- 手足の皮膚や筋肉・関節
- 内耳(=ないじ・耳の奥にある器官)
から集約されたあらゆる情報を
- 脳
が整理・統合し、体の各器官に指令を出すことによって保たれています。
めまいの疾患などは[耳からめまい・脳からめまい違いや見分け方]でさらに詳しくご覧いただけます。
めまい原因で最も多いのは?
耳は外側から内側へ向かって
② 中耳 (ちゅうじ)
③ 内耳 (ないじ)
の3つのエリアに分けられています。
引用:めまいナビ memai-navi.com
実際にめまいを引き起こす原因として一番多いのが、
いちばん耳の奥にある③内耳の障害
と言われています。
では実際に、内耳を中心にして、下を向くと起こりやすいめまい原因をいくつか紹介します。
下を向くとめまいの原因6つ
下を向いた時に起こるめまいの原因として、一番に考えられるのは
① 良性発作性頭位めまい症
という病気で、数十秒程度のめまい・吐き気だけならほぼこれが考えられます。
次に考えられるのは
② メニエール病
他には
③ 前庭神経炎
④ 貧血・低血圧
⑤ 首凝りでめまいが誘発
⑥ 肩凝りでめまいが誘発
などもあります。
それぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。
① [良性発作性頭位めまい]:耳石の侵入
めまいを訴える人のほぼ半数は
という病気で、「良性頭位めまい症」ともいわれます。
名前は聞きなれませんが、簡単に言うと頭を動かすと起こるめまいです。
耳奥にある内耳の耳石がはがれ、からだのバランスを保つ三半規管に入り込んでしまうと、
めまいが起こります。(詳しくは後述)
更年期以降の女性に多いと言われていますが、年齢・性別関わらず誰にでも起こる病気です。
良性発作性頭位めまいの症状・特徴
良性発作性頭位めまいは
- 下を向いたとき
- 上を向いたとき
- 横になったとき
- 寝返りのとき
- 起き上ったとき
- 立ち上がるとき
- 首を振ったとき
- 振り返ったとき
- 高いところに手を伸ばし頭をのけぞらせた時
…など、頭を動かしたときだけに“ぐるぐるめまい“がおこり、20秒以内に自然におさまるのが特徴です。
このようなめまいが、日中たびたび襲ってきます。
立っていられないほどの激しいめまいも多いですが、
吐き気を感じることはあっても、耳の異常(耳鳴り・難聴など)は見られません。
② [メニエール病]:リンパの増加
もし、めまい発作が1~2時間も続き、繰り返すめまいに加えて、
- 難聴(特に低音が聞こえにくい)
- 耳がつまった感じ
- 耳鳴り
など耳の異常を伴うと、内耳の病気である
『メニエール病』
の可能性が高くなります。
メニエール病の原因
内耳を満たしている液体(リンパ)が増えすぎて、
内耳がむくみ、めまいや吐き気が繰り返し起きます。
ストレスや睡眠不足などが主な原因で、完治が難しいと言われています。
③ [前庭神経炎]:神経の炎症
3日以上も強烈なめまい発作が続き
- 吐き気
- 嘔吐(おうと)
- 冷や汗
まで伴う場合は、内耳の前庭という部分に炎症が起きる病気、
『前庭神経炎』
が考えられます。
前庭神経炎の原因・特徴
前庭神経炎は、かぜの症状から1週間ほどして突然“ぐるぐるめまい”で始まります。
- ウイルス感染
- 血液の循環障害
- 何らかのアレルギー反応
で炎症が起こるのではないかと考えられています。
発症すると、食事をすることも動くこともできませんが、
適性な治療(投薬)などで、完治には半年ほどかかると言われています。
①②③内耳のめまいをまとめると…
ご紹介した内耳に関わる代表的なめまい症状①②③をまとめると次のようになります。
病名 | めまい頻度 | めまい症状 | 併発しやすい症状 |
①良性発作性頭位めまい | 20秒程度が頻発 | 頭を動かすタイミングで回転性めまい | 軽い吐き気(難聴・耳鳴り無し) |
②メニエール病 | 数時間~1日続く | 激しい回転性めまい | 吐き気・嘔吐・耳鳴り・難聴・耳の詰まりを感じる |
③前庭神経炎 | 3日以上・強烈なめまい | 激しい回転性めまい | 吐き気・嘔吐・冷や汗(難聴・耳鳴り無し)食事が出来ない・歩行困難にも |
【一部情報参考元】
④ 貧血・低血圧
めまいの原因として考えられるのは、
「貧血」「低血圧」も心当たりとしてあげられます。
“立ちくらみめまい“が共通点ではありますが、
・貧血は、体全体の栄養(特に鉄分)不足
・低血圧は、自律神経系や脳に送られる血流(酸素)不足
が主な原因で二つは全く別の症状です。
- 下を向いた時
- 立ち上がった時
- 前かがみになった時
- お風呂の湯船から出る時
目の前が真っ白・真っ黒になり、最悪はそのまま失神してしまう危険もあります。
⑤ 首周りのコリとめまいの関係
意外かもしれませんが、
“めまい患者の9割は首が凝っている“
ともいわれるほど、
首凝りとめまいは密接な関係があります。
具体的な病名を
と言います。
先ほどの
・良性発作性頭位めまい症
・メニエール病
の診断基準に症状が当てはまらない、原因がよくわからない…よくよく調べると実は
首凝りからくるめまいだった、という人が多いそうです。
頚性めまいの主な原因
頚性めまいのは、内耳の障害ではなく、
耳に流れる血流不足が主な原因とされています。
首は耳に行く血液の通り道ですから、首が凝ってしまうと
↓
↓
↓
↓
と考えられています。
頚性めまいの特長・症状
頚性めまいは、
- 首の痛みや凝りが強いと感じたとき
- 首を上下左右動かしたとき
に起こりやすく、何日も続くことはありませんが、
- 耳鳴り・難聴
- 吐き気
- 頭痛
などを同時に伴うこともあるそうです。
多くは“フラフラめまい“ですが、回転性の“グルグルめまい“の要素が加わっている場合もあります。
頚性めまいの人は首の左側だけ凝っている?
首凝りになる原因は、
- 疲労やストレス
- 姿勢の悪さで骨格のゆがみ
など、下を向いた状態のまま長時間パソコン作業などをする人に特に多いそうです。
こわばった筋肉が神経や血管を圧迫するので、首の筋肉が凝りやすくなるためです。
また、頸性めまいの人は、
首凝りは左側が圧倒的に多く、右側に症状が出ることは少ないと言われています。
これは、左側にリンパ管が通っているからではないかと考えられています。
⑥ 肩こり・頭痛とめまいの関係
“凝り“とは、いわゆる筋肉が緊張している状態。
肩こりが原因の血流不足で、めまいが起こる場合もあります。
- 肩
- 首
- 頭
の3つは密接つながっていますから、
肩・首の筋肉のコリ=頭の筋肉のコリ
につながるため、
肩こり → 首こり →めまい → 頭痛
という連鎖した症状になってあらわれます。
下を向くとめまい原因は他にも…
めまいが起こる仕組みは、耳だけでなく、
脳、眼、首、体全体の関節や自律神経などいろいろな部位の異常が関係しているため、かなり複雑です。
下を向くとめまいが起こる場合は、次のような病気が原因もあります。
【脳の異常】
- 脳卒中
- 脳梗塞
【その他】
- 栄養失調
- 首のケガ
- 更年期障害
- ストレス・疲労
など件数は少ないですが、考えられる原因はもちろん他にもあります。
とくに脳の異常の場合の“下を向くとめまい”の原因は、
- 手足のしびれ・震え
- ろれつが回らない
- 激しい頭痛
など、緊急性を伴う脳障害の特徴的な症状があらわれるため、
めまい以外にどんな症状があるのか見極める必要があります。
良性発作性頭位めまい症の原因
最初にお話しした、めまい患者の約40%はこの症状といわれている
『良性発作性頭位めまい症』
あらためて詳しく見てみます。
良性発作性頭位めまい症の症状
症状としては、急に頭を動かすとめまいが起こるため、
- 下を向く
- 横になる
- 首をふる
- 寝返りをうつ
- 急に立ち上がる
など、特に朝ベッドから起き上がった時などに症状が起きやすいそうです。
めまい自体は数十秒で自然に治ることが多いですが、
頭を動かすタイミングで日中何度も襲ってくることも。
軽い吐き気も伴うこともあります。
https://kenkokampo.com/body/heart/6457/
良性発作性頭位めまい症の原因は[耳石]?
内耳にある平衡感覚をつかさどっているものは
・前庭神経
・前庭(耳石器)
の3つ。

引用:めまいナビ memai-navi.com
耳石器にある炭酸カルシウム成分の小さな塊「耳石」は、
5マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル程度の大きさで、
数百個程度も内耳の「前庭」という感覚細胞にくっついています。

引用:日経ヘルス-めまいの半数 耳石の仕業-
この耳石が、何らかの理由ではがれ落ちて、横になったりするとコロコロと三半規管に流れ込み、平衡感覚をつかさどる細胞を壊し、乱れたバランス情報が脳に送られることで、めまいが起こるとされています。
しかし、この病気は
- 更年期で神経が敏感になっているから
- 過労、睡眠不足、酒の飲み過ぎ
- 軽い脳幹梗塞やその後遺症
など、耳だけでなく、脳や他にも原因の可能性はあるという指摘もあるため、
軽度なめまいでもきちんと診断してもらうことが大切です。
耳石がはがれる原因
耳石がはがれる原因は、
- 加齢
- 耳の感染症
- 耳の外傷・何らかの衝撃
だけでなく、
- 栄養不足(ダイエットのやりすぎ)
- 生活習慣(疲れ・寝不足など)
- 長時間動かなかった場合(睡眠など)
など、むしろ生活習慣病などが原因で、引き金になることが指摘されています。
最近では2012年、女子サッカー日本代表だった澤穂希選手が、この症状と診断されて約1カ月の治療のち、戦線復帰されたことで知られています。
繰り返すヘディングで耳への衝撃が重なることで、耳石が剥がれたと考えられています。
良性発作性頭位めまい症の治療
良性発作性頭位めまい症は『良性』というだけあって、順調に治療をすれば、数週間程度でおさまります。
いちど三半規管に入り込んでしまった耳石は、もとの位置に戻りません。
そのままリンパ液に浸ったまま、いずれそのまま溶けるまで、めまいは続きます。
ですから治療方法の一つに、「わざと頭を振ったり下を向いたりして耳石を追い出す」というものがありますが、必ず医師の指示(耳鼻咽喉科・内科など)が必要になります。
自然治癒でも治ることはありますが、再発も多いとされています。
良性発作性頭位めまい症の予防
良性発作性頭位めまい症は、ストレス・疲れ・生活習慣の乱れなどきっかけで起こることがほとんどです。
再発しないためには
- 食事の栄養バランスに気をつける
- 十分な睡眠をとる
- ストレスをためない
- 適度に体を動かし、筋肉をつける
など生活習慣病の一つとして、基本的なことから習慣を見直すことが大切です。
まとめ
下を向くと起こるめまいの、考えられる原因など紹介しました。
ほぼ半数は「耳石」が原因とされる
“良性発作性頭位めまい症“
ですが、他にも考えられる病気・症状はさまざまあります。
心配な場合には、まず耳鼻科や内科などを受診する必要があります。
とくに、肩こり・首のこりなどがある方は、それがめまいに影響している場合も多いので、
適度にマッサージや休憩をして体を休めるようにしてくださいね。